2018,2019年は広角に打球が飛んでいる
2021年2月4日 投稿
大谷選手の打球分布図 2018,2019 対右投手

大谷選手の2018年と2019年の打球分布図を比較すると,特に大きな変化は認められません.2018年は内野の打球がやや右方向に多くなっていますが,俯瞰でみるならば,2018,2019年ともに広角に打球が飛んでいることを確認できます.
大谷選手の打球分布図 2020 対右投手

2018,2019年は内外野ともに広角に打球を飛ばしていた大谷選手ですが,2020年の打球分布図をみると,内野の打球が右方向に偏っていることがわかります.

引用元:ベースボール・サバント
2018~2020年の投球割合は,年度によって特定のコースに投球が偏るなどの大きな変化は認められないので,2020年に内野の打球が右方向に偏っているのは,大谷選手の打撃動作に 変化したことによると考えられます.
大谷選手の打球分布図 2018,2019 対左投手

大谷選手の2018年と2019年の打球分布図を比較すると,対左投手でも特に大きな変化は認められません.内野の打球はやや右方向が多くなっていますが,右方向に偏っているわけではなく,左方向にも打球は飛んでいます.俯瞰でみるならば,2018,2019年ともに広角に打球が飛んでいることを確認できます.
大谷選手の打球分布図 2020 対左投手

2020年は内外野とも明らかに打球が右方向に飛んでいます.2018,2019年と比べると一目瞭然です.

引用元:ベースボール・サバント
2018~2020年の投球割合は,年度によって特定のコースに投球が偏るなどの大きな変化は認められないので,2020年に内外野ともに打球が右方向に偏っているのは,大谷選手の打撃動作が変化したことによると考えられます.
右方向に打球が飛ぶのは,手首を返しているから
2021年2月8日 投稿
右方向に打球が飛ぶのは,手首を返しているから

大谷選手の打球分布図からわかること で,2020年の打球分布図が2018,2019年と比べて右方向に偏っていることを指摘しました.対右投手では内野の打球が右方向に集まり,対左投手では内外野ともに右方向に打球が偏っています.
右方向に打球が偏る原因としては,インパクト後,手首を返していることが考えられます.手首を返すと インパクト後,手首をすぐに返してはいけない で説明しているように中心衝突させることができなくなります.
手首を返す理由①:グリップの位置が体から離れている


グリップの位置が体から離れると,スイングの軌道が図120の点線のようにアウトサイド・インになります.アウトサイド・インのスイングは円を描くためインパクト後,打ち返す方向に両腕を伸ばすことが難しくなり,手首を返して打ちやすくなります.また,円を描くスイングでは慣性モーメントが大きくなるため,スイングスピードも速くすることができません.
手首を返す理由②:両肩を結ぶ線が打ち返す方向に対して90°になっていない

ボールを強く打つためには,インパクト後,両腕を打ち返す方向に伸ばす必要があります.両腕を伸ばすためには打ち返す方向に正対(両肩を結ぶ線が90°になる)していないと,十分な力でバットを押し出すことができません.
大谷選手はゴルフスイングで肩が回っていないので,当然,両肩を結ぶ線は打ち返す方向に対して90°になりません.この両腕を伸ばしにくい体勢でバットを打ち返す方向に対して90°でインパクトし,90°の角度を保ったまま両腕を伸ばすのは非常に不安定な動作になります.この打ち方では手打ちの要素が大きくなり,ちょっとしたことで手首をこねる打ち方になっても不思議はありません.そもそも打ち返す方向に対して正対していないことが問題です.
手首を返す理由③:バットが打ち返す方向に対して90°になっていない
大谷選手の動画をみると,肩は回っていませんが,バットは打球線(弾道)に対してほぼ90°でインパクトしていることを確認できます.2018,2019年はバットを打球線(弾道)に対して90°でインパクトできていたのが,2020年にはできなくなっている可能性があります.
おそらく,両肩を結ぶ線とバットが並行になるドアスイングに近づいているため,バットも回らないままインパクトしているものと思われます.

打ち返す方向に対してバットが肩と平行に近い状態でインパクトすると,バットのヘッド側の角度が90°よりも大きくなり,手首を返して打つことになります.大谷選手は元々ゴルフスイングのため肩が回っていませんが,バットまで回らなくなってきていることが考えられます.
手首を返す理由④:インパクト後,肩を回している
ボールを強く打ち返すためには,インパクト後,両腕を打ち返す方向に伸ばす必要がありますが,そのためには,両肩を結ぶ線は打球線(弾道)に対して90°に保っておかなければなりません.インパクト後,肩を回すと90°に保てなくなるため,両腕を伸ばせず肩が回るときに手首を返して打つことになります.
インパクト後は肩とバットを90°に保ったまま打ち返す方向に両腕を伸ばさないといけないので,インパクト後,肩を回すこと自体が間違っています.
対右投手よりも対左投手で右方向の打球が顕著になっているのはなぜか
MLBでの左対左の攻め方 で述べたように,投手の配球は外角低めのコースの割合が大きくなります.そのため,投球線(球道)が打者に鋭角に入ります.そうすると,大谷選手のように肩を回さない打者は,ますますバットだけを打ち返す方向に90°でインパクトすることが難しくなります.その結果,インパクトでバットのヘッド側の角度が90°よりもかなり大きくなり,手首を返して打っていると考えられます.
引用元:ベースボール・サバント

肩が回っていないため,インパクトの顔の向きがゴルファーと同じになっている.
本来ならば打ち返す方向に正対して,インパクト後,両腕を打球線(弾道)の方向に伸ばさないといけないが,ワキが空いてすでに両腕が伸びきっている.
引用元:ベースボール・サバント

インパクトでの投球線(球道)とバットとの角度は,バット側が90°より大きくなり(鈍角),グリップ側が90°より小さくなっている(鋭角).
左投手の鋭角の投球に対して肩を回さないと,インパクトでバット側の角度が90°より大きくなり,打ち返すのが難しくなる.
それを防ごうとしてバットだけを投球線(球道)に合わせようとすると,手打ちになり,手首をこねることになる.
引用元:ベースボール・サバント
また,対左投手の場合,投球線(球道)が打者に鋭角に入ってくるので,センター方向に打ち返す場合でもインパクトでバットのヘッド側の角度が90°よりも大きくなります.このように打球線(弾道)に対して90°でインパクトしても投球線(球道)に対してバットのヘッド側の角度が大きくなりすぎると打ちにくくなるということが起こります.つまり,左対左(右対右も)では,インパクトでバットのヘッド側の角度が大きくなる傾向にあるので,投球線(球道)の方向に打ち返すほうがよいということになります.この場合,村上氏の中心衝突の理論が適用されます.
右投手対左打者,左投手対右打者の場合はセンター方向に打ち返す場合でも,インパクトでバットのヘッド側の角度は90°より小さくなるため,引っ張る場合でも打ちにくくなることはありません.中心衝突させずに右方向(右打者),左方向(左打者)の打球線(弾道)②対して肩とバットを90°にしてインパクトしても問題はないことになります.
右対右,左対左の場合は,村上氏の中心衝突の理論に従って,投球線(球道)に対して肩とバットを90°にするのも対策の一つです.
バットが打球線(弾道)に対して90°で交わっているか?
2021年2月20日 投稿
「2018,2019年は広角に打球が飛んでいる」 ,「右方向に打球が飛ぶのは,手首を返しているから」で,大谷選手の2020年の打球分布図(対左投手)が極端に右方向に偏っていることについては,すでに説明済みですが,実際の打撃動作でインパクトのときに肩がどのくらい回っているか,バットが打球線(弾道)に対して90°で交わっているか確認します.

①内角球を右方向に打ったケース
引用元:ベースボール・サバント

一塁手がライン際で捕球しているということは,打球線(弾道)は,ほぼ一塁側のラインと変わらないことになります.本来ならば,両肩を結ぶ線とバットは打球線(弾道)に対して90°で交わるべきなので,肩もバットももっと回っていなければなりません.
ゴルフスイングの大谷選手は,肩が回っていないのは当然ですが,2018,2019年はバットは打球線(弾道)に対して90°を保っていました.しかし,2020年はバットすら90°に保つことができなくなっているようです.肩とバットが回っていないことをカバーするために,インパクト後,肩を回しているのですが,肩を固定していなければ両腕を伸ばしてボールを強く打つことはできないので,結局,手をこねて手首を返して打つことになります.

②外角球を右方向に打ったケース
引用元:ベースボール・サバント


肩を回さないゴルフスイングでは,左投手の外角のボールを打つときに両腕が伸びてしまうため,腰が引けて手打ちになります.左投手の場合,外側に逃げるような球道になるため,肩を回さないと手でボールを追いかけるような体勢になります.
②外角球を右方向に打ったケース
引用元:ベースボール・サバント


肩を回すと両腕を伸ばしてボールを打つことができないため,手首を返して打つことになる
村上豊氏が指摘しているように,ゴルフスイングでは打つことはできません.大谷選手がゴルフスイングを続ける限り,成績を残すのは難しいでしょう.