ゴルフスイングでは高めは打てない
2020年11月30日 投稿
対右投手 コース別打率 全球種
新田打法で打つ大谷選手 で,大谷選手がゴルフスイングでバッティングを行っていることを説明しました.実際に大谷選手は,ゴルファーのように肩を回さずにボールを打っています.
ゴルフでは地面に置いたボールを打つため,両肩を結ぶ線をスイングの軌道と水平に保つのがよいのですが,野球では動いてくるボールの力に負けないように肩を回してボールを打ちます.

大谷選手のように肩を回さずに打つ場合,肩を回さずに高めのボールを打つのと,肩を回さずに低めのボールを打つのとでは,どちらがボールを強打できるかというと,低めのボールの方が打ちやすくなると考えられます.ゴルフでも地面に置いたボールではなく,高い位置のボールを打つとしたら手打ちになり,強打することはできないことが推測されます.
つまり,大谷選手のように肩を回さずにボールを打つ場合, 低めのボールが打ちやすくなり,低めのボールでも体に近いほうが打ちやすくなるため,内角低め,真ん中低め,外角低めの順に打率が高くなると考えられます.

引用元:ベースボール・サバント
2018,2019年の対右投手のコース別打率をみると,真ん中,低めのコースで打率が高くなっていることを確認できます.ゴルフスイングで打っているため,内角低めのコースの打率が高く得意のコースになっています.同じ低めでもミートポイントが体から離れる外角低めのコースは少し打率が下がりますが,それでも3割以上打っています.
ゴルフスイングでは地面に置いたボールを打ちますから,高めのボールを打つ想定にはなっていません.野球でもゴルフのように肩を回さずに打とうとすれば,高めのボールを打つことは難しくなると考えられます.
対左投手 コース別打率 全球種

引用元:ベースボール・サバント
対左投手のコース別打率については,2018,2019年で共通する傾向を見いだすことができません.たとえば,2018年は低めのコースが打てていませんが,2019年は内角低め,外角低めは高打率になっています.
理由の一つとして考えられるのが,サンプル数の不足です.2018年に大谷選手に投げられた球数は1455で,そのうち右投手が1019(70%),左投手が436 (30%),2019年は球数が1683,右投手が1206(71.7%),左投手が477 (28.3%) となっています.左投手の投球数が非常に少なくなくなっています.
コース別打率の分母は実際にコースに投げられたボールの数ではなく,打者が打って結果( ヒットかアウト )が出たボールの数になります.打ってもファールになったボールや,見逃したボール(三振,四球,カウント)は含まれません.つまり,打者が対戦した投球数が少ないと,極端にいえば,コースによっては1打数1安打で1.000,2打数1安打で.500ということが起こりえます.苦手なコースでも高打率になったり,本当は得意なコースなのにたまたま打てなかった,苦手な球種だったなどの理由から1打数0安打で.000になってしまう可能性も否定できません.投球数自体が少ないとデータの信頼性が失われます.
大谷選手のコース別打率-2020年
2020年12月4日 投稿

引用元:ベースボール・サバント
「大谷選手のコース別打率-2018,2019年」 で,大谷選手がゴルフスイングを行っているため,低めのコースの打率が高く,高めのコースは低打率になる傾向(対左投手では確認できず)があることを述べました.
2020年のコース別打率を調べたところ,対右投手,対左投手ともに前述の傾向を確認することはできませんでした.対右投手では内角低めと外角の真ん中は.333,.462と打率は高いのですが,苦手であるはずの高めのボールのうち内角高めのボール球が.333となっています.対左投手ではど真ん中が.500,内角高め(ボール球も含めて)が打率が高くなっています.
2020年のMLBは試合数が60試合に短縮されたため,大谷選手に投げられた球数は739(2019年の43.9%)と少なく,そのうち右投手が511( 2019年の42.4% ),左投手が228 ( 2019年の47.8% ) となっています.このような少ない球数ではデータの信頼性が低くなると考えられるため,2020年のコース別打率についてはっきりしたことはいえません.