MLBの新しい打撃指標「バレル」とは?-スタットキャストの定義

スタットキャストの用語の定義

mlb.com → glossary → statcast に進むと,バレルは次のように定義されています.

• Barrels: A batted ball with the perfect combination of exit velocity and launch angle, or the most high-value batted balls. (A barrel has a minimum Expected Batting Average of .500 and Expected Slugging Percentage of 1.500.)

• バレル:出口速度と発射角度の完璧な組み合わせを備えた打球、または最も価値の高い打球。
(バレルの最小予想打率は.500、予想長打率は1.500です。)

引用元:https://www.mlb.com/glossary/statcast
※参考のため,google翻訳アプリの訳を載せています.

 バレルとはバッティングの新しい指標で,打球初速度と打球角度の完璧な(理想的な)組み合わせを表します.長打,特にホームランを打てる打撃動作になっているかを判断するための指標と考えてよいかと思われます.ホームランを打つためには,当然,打球初速度が大きいことが必要となりますが,いくら打球初速度が大きくても,多少弾道が低いか,または高い打球ではフェンスまで届かない可能性があります.つまり,打球初速度に見合った打球角度の組み合わせがあるということです.
 ここで予想できることは,打球初速度が小さい場合は飛距離は期待できないため,打球角度が一定の範囲に限定されるということ,打球速度が大きい場合は飛距離が期待できるため,打球角度に幅が出てくることです.

バレルの定義

statcast → barrel に進むと定義は次のようになります.

Definition

The Barrel classification is assigned to batted-ball events whose comparable hit types (in terms of exit velocity and launch angle) have led to a minimum .500 batting average and 1.500 slugging percentage since Statcast was implemented Major League wide in 2015.

But similar to how Quality Starts have generally yielded a mean ERA much lower than the baseline of 4.50, the average Barrel has produced a batting mark and a slugging percentage significantly higher than .500 and 1.500, respectively. During the 2016 regular season, balls assigned the Barreled classification had a batting average of .822 and a 2.386 slugging percentage.

To be Barreled, a batted ball requires an exit velocity of at least 98 mph. At that speed, balls struck with a launch angle between 26-30 degrees always garner Barreled classification. For every mph over 98, the range of launch angles expands.

For example: A ball traveling 99 mph always earns ‘Barreled’ status when struck between 25-31 degrees. Add one more mph — to reach 100 — and the range grows another three degrees, to 24-33.

Every additional mph over 100 increases the range another two to three degrees until an exit velocity of 116 mph is reached. At that threshold, the Barreled designation is assigned to any ball with a launch angle between eight and 50 degrees.

引用元:https://www.mlb.com/glossary/statcast/barrel

 打球初速度と打球角度の完璧な(理想的な)組み合わせを備えた打球がバレルに分類されますが,打球初速度と打球角度の点からバレルと同等とみなされるヒットのタイプは,2015年にスタットキャストが導入されて以来,最低でも.500の打率と1.500の長打率を記録しているということです.実際の平均バレルの数値は,打率.500,長打率1.500を大きく超えており,2016年のレギュラーシーズンでは,バレルに分類される打球の平均打率,平均長打率は,それぞれ,.822,2.386となっています.

打球初速度が大きくなれば,打球角度に幅が出てくる

赤で覆われた部分(Barrel Zone)は,100%のケースでバレル状態を生み出す打球初速度と打球角度の組み合わせを示している.
引用元:https://www.mlb.com/glossary/statcast/barrel

 バレルの定義の引用文によると,バレルに分類されるためには,最低でも98mphの打球初速度が要求され,この98mphの打球初速度では,打球角度が26°-30°の間にあれば,常にバレルに分類されるとのことです.打球初速度が98mphを超えると,1mph速度が上がるごとに打球角度が大きくなります.
 引用文のFor exampleでは,初速度99mphの打球は,打球角度25°-31°でバレル分類を獲得すること,打球初速度が100mphに達すると打球角度が3°拡大し,24°-33°となること,100mphを超えると116mphに達するまでは,1mph速度が上がるごとに,さらに打球角度が2°-3°大きくなり,この打球初速度116mphの閾値では,打球角度が8°-50°まで拡大することが述べられています.

バレルに分類される打球初速度と打球角度の組み合わせ
打球初速度打球角度打球角度の拡大幅
合計下向き上向き
98mph26°-30°——————
99mph25°-31°-1°+1°
100mph24°-33°-1°+2°
116mph8°-50°33°-16°+17°
引用元:https://www.mlb.com/glossary/statcast/barrel
※打球角度の拡大幅の合計は下向き,上向きの拡大幅に関係なく,プラスで表します.
  • 98mphから99mphへ打球初速度が1mph上がると,飛距離がアップするため,打球角度が少し下向き,上向きになっても,長打,ホームランになる.下向きの角度は26°から25°に1°マイナス,上向きの角度は30°から31°へ1°プラスとなり,打球角度は2°拡大する.
  • 99mphから100mphへ打球初速度が1mph上がると,飛距離がアップするため,打球角度が少し下向き,上向きになっても,長打,ホームランになる.下向きの角度は25°から24°に1°マイナス,上向きの角度は31°から33°へ2°プラスとなり,打球角度は3°拡大する.
  • 100mphを超えると116mphに達するまでは,1mph速度が上がるごとに,さらに打球角度が2°-3°大きくなる.
  • 100mphから116mphへ打球初速度が上がると,下向きの角度は24°から8°に16°マイナスとなり,16で割ると1mphあたり1°のマイナス,上向きの角度は33°から50°へ17°プラスとなり,16で割ると1mphあたり1°-2°のプラスとなっている.上向き,下向き両方の角度を合わせると,打球角度は33°プラスとなっており,16で割ると1mphあたり2°-3°のプラスとなっている.

 スタットキャストのイラストの 赤で覆われた部分は ,上表の打球初速度(98mph-116mph)と打球角度(8°-50°)の組み合わせで示されるバレルゾーン( Barrel Zone ・バレルに分類されるゾーン)を表しています.