ソフトバンクが強い理由-フィジカルの強さと技術の向上は別物

フィジカルの強さと技術の向上は別物

 日本シリーズ4連覇を達成したソフトバンクについて,なぜ強いのかということが話題になっています.

・ダルビッシュ投手のYouTube動画「ソフトバンクの強さやセ・パの大きな違い」https://www.youtube.com/watch?v=XM3cIMsHkZ0
・高木豊氏の YouTube動画 「【多村仁志さん登場】本当にソフトバンクが強いの!?多村さんが感じたセリーグとの差について語ります!!」https://www.youtube.com/watch?v=a8FHjrqF7mM

 両方の動画で共通した理由が述べられている部分があります.

 ダルビッシュ投手と多村氏ともに,フィジカルの部分を挙げています.多村氏がすごかったというくらい,選手はウエイトトレーニングをおこなっていたようです.ウエイトトレーニング 室にはあらゆる種類のサプリメントが並び,2005年当時からみんなパーソナルトレーナーを自腹で雇って専門的なトレーニングをしていたとのこと.また,キャンプ中の食事も外食に行かなくてもよいくらい豪華で,体づくりをするための環境が整っていたことがソフトバンクの強さの一因として挙げられています.

 この動画を観た方は,野球が上手くなるためにはウエイトトレーニングが必要だから,ボディービルダーのような体をつくらなければならないと思われた方も多いと思います.しかし,体作りと技術の向上は別物です.
 野球選手にボディビルダーの筋力は必要か で述べたように,特異性の原則に則ったウエイトトレーニングであれば,投手の腕の振りのスピード,打者のスイングスピードの増大が期待できますが,ダルビッシュ投手に「体を大きくする」ということばが出ていることから,ボディービルダーよりのトレーニングであったことが推測できます.
 もちろん,ボディービルダーのトレーニングでも効果は出ますが,特異性の原則に則ったウエイトトレーニングに比べるとその効果は小さいものになります.ですから,体をつくることは大事なことですが,ソフトバンクの選手がウエイトトレーニングに力を入れていたことが強さの根本的な理由になることは考えにくいということです.副次的なプラス面として位置づけするのが適当です.
 練習量がものすごかったという話も出ているので,むしろ特異性の原則に則った投げ込みや打ち込みをおこなうことで,投手のスピード,スイングスピードが増大したと考えることもできます.

合理的な動作ができている選手がどれだけいるか

 たとえば,成績が低迷している打者がいるとします.この選手がソフトバンクを見習ってウエイトトレーニングに励み,栄養も十分に摂って大きな体を作ることに成功したら,パフォーマンスは向上するでしょうか.答えはNoです.なぜなら成績が低迷している原因は打撃動作にあるので,いくら体づくりをしたところで打撃動作を改善しない限り,パフォーマンスは向上しないからです.ソフトバンクは育成出身で活躍している選手が多くいますが,ウエイトトレーニングをしたから活躍しているわけではなく,動作なかに技術向上の裏付けがあるはずです.
 つまり,チームの強さは投手,野手に合理的な動作ができている選手がどれだけいるかということにかかわってきます.ソフトバンクには柳田選手のようにパフォーマンスが高い選手もいますが,「科学する野球」でも指摘されているように,残念ながら日本人選手よりも 外国人選手のほうが動作では上を行っています.日本シリーズも含めソフトバンクほど投打ともに外国人選手が成績を残しているチームは他にないのではないかと思います.