「科学する野球」では,フックグリップ,コック,アンコック,ヒンジといったゴルフ用語が使われています.村上氏はゴルフについての著作もあり,野球のバットの握りや慣性モーメントを小さくする動作を説明するのに,ゴルフ用語を多用しています.
フックグリップ

引用元:http://www.radfordgolf.co.za/common-setup-fault-neutral-strong-or-weak-grip/

フックグリップ(ストロンググリップ)では,スクエアグリップ(ナチュラルグリップ)から,右腕と右手を回外(外側に回す)し,左腕と左手を回内(内側に回す)します.
逆にウィークグリップでは,スクエアグリップ(ナチュラルグリップ)から,右腕と右手を回内(内側に回す)し,左腕と左手を回外(外側に回す)します.
「科学する野球」では,打者のバットの握りをこのゴルフのフックグリップで握るようにとの説明になっています.
画像の引用元:https://golf-score-up.com/correctswing-5/

フックグリップ(ストロンググリップ)でテークバックすると,右打者の場合,トップで左手は背屈(手の甲側に曲げる)しますが,右手は掌屈(手の平側に曲げる)しません.空手打法を行う際のグリップに近いといえば近いのですが,あくまでもゴルフのトップなので,このゴルフのトップを野球の打者の構えとして認識するのは無理があります.
コックとヒンジ
科学する野球・実技篇のp.47にコックとアンコック(コックを解く)を示した図が載っており,「手をコックするというのは,図㉒のように親指の背面のほうに手を折り曲げることをいいます」との説明があります.

ゴルフのサイトでは,
- コック:手首を親指側(縦方向)に折る動き
- ヒンジ:手首を右手の甲側(横方向)に折る動き(右打ちの場合)
となっています.


他のサイトでは,
- 「コック」とは、一般的に親指方向に手首を折る動きのこと
- 右利きの場合、右手の甲側に手首を折ることを「ヒンジ」ということがあります
となっています.
ヒンジ(hinge)とは蝶番(ちょうつがい)と言う意味で,戸が蝶番で動くように手首を折る動作を表しているようです.

https://sports.dunlop.co.jp/golfschool/updates/detail/20200816214502.html

https://sports.dunlop.co.jp/golfschool/updates/detail/20200816214502.html
「科学する野球」では,ゴルフ用語が多用されていますが,必ずゴルフで理解しなければならないということではありません.ゴルフ用語が入ることで,かえってわかりにくくなっている側面があるので,わかりやすいことばに置き換えて理解して構いません.