「グラスノーの投手の右肘靱帯の部分断裂の原因は,100%、取り締まり強化のせい」-ダルビッシュ投手の発言

ダルビッシュ投手の発言

パドレス・ダルビッシュ MLBに不信感 粘着物質不正使用 22日から取り締まり強化
 大リーグ機構(MLB)が15日(日本時間16日)、投手による粘着物質不正使用の取り締まりを強化し、21日(同22日)から罰則の適用を厳格化すると発表した。一部投手が投球の回転数を上げるために不正使用している疑惑を受けての対応。一方で異例ともいえるシーズン中の「ルール改定」にパドレスのダルビッシュ有投手(34)ら多くの投手が不信感を募らせた。 【写真】打撃でも魅せる、5月17日のロッキーズ戦で今季初安打を放ち喜ぶダルビッシュ

 全体の打率が2割3分台と「投高打低」が顕著な今季の大リーグ。MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは「データなどに基づき、グラウンドでの公平を期すため、異物に対するルールの適用が必要だと判断した」と今回の措置を説明した。

 メジャーでは滑り止めのロジン以外の使用は違反とされているが、松やになどの使用は、これまで「暗黙の了解」とされてきた。一方、投球の回転数増や、鋭い変化球を投げる目的で複数の投手が粘着力の高い物質を使用しているという疑惑が浮上。MLBは今季回収した公式球の多くに粘着物質使用の痕跡があったとし、取り締まりと罰則強化が決まった。

 この問題が表面化して以降、滑りやすい公式球の変更などを訴えてきたパドレスのダルビッシュは、改めて不信感を口にした。「MLBは前から(公然の秘密を)知っていたのだから、シーズン中にいきなり“それは使えない”というのではなくて、ボールを変えることが先だろうと思う」。自身は15年の「スタットキャスト」導入後、直球のスピンレート(1分間に換算した回転数)は2500台、スライダー、カットボールは2700台で大きな変化はなし。「潔白」であるにもかかわらず「ここにきて打者が打てないとなり“なんでお前たち(粘着物質を)使っているんだ”となっているのが今の状況。(MLBは)急に立場を変えたと感じる」と訴えた。

 思わぬ「犠牲者」も生まれた。レイズのエース右腕グラスノーは8日のナショナルズ戦で「粘着物質」を使用せずに登板。この日になって「右肘じん帯の部分断裂」が判明し負傷者リスト(IL)入りした。「ケガの原因は100%、取り締まり強化のせい。規制するならシーズンオフにやるべき」と辛らつだった。

 違反者は退場に加え、10試合の出場停止処分が科され、繰り返せばより重い処分になる可能性がある。違反がなくても登板中に審判から複数回、チェックを受けることになる。ツインズの前田、マリナーズの菊池、エンゼルスの大谷ら日本投手も突然の規制強化で受ける影響は少なくない。

 ≪18年ごろから普及?スパイダータック≫大リーグで18年ごろから広まったと言われている高粘着物質が「スパイダータック」と呼ばれる滑り止めで一般的にはパワーリフティングの選手が使用する。指先に塗ることでしっかりグリップできるために回転数が増し、直球の球速や変化球の変化量がアップする。あるOB投手は「現役の70~80%が使用している」と証言している。

 ▼ツインズ・前田 影響が出てくるピッチャーがいるかもしれないが、僕自身は回転数とか人よりずばぬけているわけではない。困ることはない。球を変えるのが一番だと思う。

 ▼マリナーズ・菊池 今までは曖昧なところがあった。しっかり線引きすることは大事かなと思った。すぐには難しいかもしれないが、将来的には(公式球の)質(の改善)も考えてほしい。

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/ea3033e5fd7e88dc5562101bab90ae6cd30b2b70

 右肘靱帯の部分断裂について,グラスノー投手も怒りをぶちまけています.

粘着物質取り締まりが「怪我につながった」 右肘痛離脱のレイズ剛腕が怒りの告白
滑り止めとして日焼け止めを使用「使わずに投げた翌日に痛みがあった
 レイズのタイラー・グラスノー投手が15日(日本時間16日)、右肘靭帯の一部損傷で10日間の負傷者リスト(IL)入りした。右肘内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を避ける予定だが、長期離脱することが決定的となった。大リーグでは投手の滑り止め粘着物質使用の取り締まりを6月下旬から始めると伝えられている。「僕の怪我につながったと100%確信している。疑う余地はないよ」と不満を口にした。【PR】セ・リーグを代表する選手たちのオリジナルコンテンツも セ界を変えるエネルギーを。「JERA セ・リーグ」特設サイト

 大リーグでは投手が強力な粘着物質「スパイダータック」を使用し、速球の回転数を増やしていることが問題視されている。松ヤニや日焼け止めクリームなども処分の対象で、滑り止めとしてはロジンのみが認められるという。グラスノーは「粘着物質を使ったことがある。僕は日焼け止め。スパイダータックを使っていない。回転数をこれ以上増やす必要はないんだ。手が大きいから、問題なくボールを回転させられる」と告白。一連の滑り止め物質の取り締まりで右肘に異変が起きたという。

 8日(同9日)の本拠地・ナショナルズ戦で7回11奪三振1失点の力投で5勝目。「何も使わずに投げた。良い投球だったと思う。翌日起きたら、体に痛みがあった」。前回14日(同15日)の敵地・ホワイトソックス戦の4回降板につながり、右肘の負傷が明らかになった。この日のオンライン会見で怒りをぶちまけた。

引用元:https://full-count.jp/2021/06/16/post1097855/

肘関節内側側副靭帯の損傷は靱帯,組織の経年劣化によって引き起こされる

 トミー・ジョン手術とは にも記載していますが,再度,KOMPAS から内側側副靭帯損傷についての記載を引用します。

内側側副靭帯損傷
前述の投球動作(加速期に腕が前方に振り出される際に肘に強い外反ストレス(肘を外側に広げようとする力)が働く)の繰り返しにより、肘の外反を制御する内側側副靭帯が障害され発症します。スキーでの転倒のような、1回の外力で靱帯が完全に断裂する場合と異なり、野球肘では繰り返す牽引により靱帯が「伸びた」状態になっていることがほとんどです。これは、靱帯の小さな断裂の繰り返しや変性(靭帯組織の劣化)によるもので、劣化したゴムに例えられます。投球歴の長いプレーヤーに多く発症します。

【症状】
投球時の肘関節内側痛が主な症状です。とくに、テークバックからの加速期に痛みが起こります。日常動作では無症状のことがほとんどですが、重症例では日常動作で肘の不安定感(ぐらつく感じ)、痛みを訴えるケースもあります。また、頻度は低いですが、不安定性により肘の内側を走行する尺骨神経が障害され、手の小指側(尺側)にしびれや感覚障害が生じることもあります。  

引用元: https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000191.html

 引用文に述べられているように,肘関節内側側副靱帯の損傷は投球動作の加速期(捕手正対時からリリースまで)に働く外反ストレスの繰り返しによって引き起こされ,スキーでの転倒のように,1回の外力で靱帯が完全に断裂するものではありません.
 外反ストレスによる内側側副靱帯の損傷(小さな断裂)の繰り返しや,変性(靭帯組織の劣化)が長く続くことで発症するため,粘着物質の取り締まり強化により「粘着物質」を使用せずに登板したからといって,その1回の登板で発症することはありません.
 グラスノー投手が内側側副靱帯を損傷したのは「粘着物質」を使用せずに登板したことが原因ではなく,グラスノー投手が内側側副靱帯を損傷するような投球動作をこれまで続けてきたことにあります.「ケガの原因は100%、取り締まり強化のせい」というダルビッシュ投手の発言に賛同していた人も多かったのではないかと思われます.