工藤公康
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=MJ0Fq7yOKbQ

稲尾和久
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=TjGdpFLuJGQ

石川雅規
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=RBohVI3Lz88

垂直にボールを切る腕の振り
稲尾,工藤,石川投手ともに,リリース後,腕が体の前で止まっています.腕が体の前で止まるということは,腕を真上から真下に振り下ろして,垂直にボールを切っていることが考えられます.
リリースのときにボールにバックスピンをかけなければなりませんが,図90のように手根部から投げようとして手を掌屈(手の平の方に曲げる)すると,トップスピンがかかりボールがお辞儀します.


バックスピンのかけ方については,「科学する野球・実践篇」のなかに感覚的な表現が使われています.p.128の「指が垂直な壁をさするような感じで,ボールを切る」とp.134の「手関節に括り付けた紐を下方に引き下ろすような気持ちで,前腕部を肘からスイングする」という表現です.バックスピンをかける動作は一瞬におこなわれるので,具体的な動作を提示するよりも感覚的なものがより効果的ではないかと思われます.たとえ感覚的なものであってもその感覚をもって練習することで,実際にバックスピンがかけられるようになれば,優れた練習方法であるといえます.
稲尾,工藤,石川投手のように,リリース後,腕が体の前で止まる投手は,「科学する野球」で述べられている「指が垂直な壁をさするような感じで,ボールを切る」というバックスピンのかけ方を実践していると考えられます.三投手ともに垂直にボールを切り,スピンのかかったキレのあるボールを投げるイメージがあります.
垂直にボールを切る腕の振り
- リリース後,腕が体の前で止まる.
- 指が垂直な壁をさするような感じで,ボールを真上から真下に切る.
- ボールを真上から真下に切るとは,正確には「ボールを切る直前の手関節の付け根の位置を含む垂直な平面(冠状面と平行)に沿って,腕を振る方向にボールを切る」(以後,垂直に・垂直な平面で,ボールを切る)という表現に近くなる.
- ボールを垂直に切るとは感覚的な表現であり,実際に垂直な平面でボールを切るということではない.
- スピンのかかったキレのあるボールになると考えられる.
- リリースポイントが体に近くなる.
- リリースポイントが体に近くなると,腕の振り幅が小さくなるため,球速は出にくいと考えられる.
