トップポジションが浅いと,腕をしならせることができない
動画は2020年9月25日の対ホワイトソックス戦での4シームの投球です.ダルビッシュ投手は,4シームの平均球速が94.1 mph(2019)から95.9 mph(2020)にアップしています.2015年にトミー・ジョン手術を受けていますが,今後,二度目のトミー・ジョン手術を受ける可能性について考えてみます.

トミー・ジョン手術を受けた投手は,内側側副靱帯を損傷するような投球動作を行っていたわけですから,手術を受けても以前と同じ投球動作を続ければ,内側側副靱帯損傷に至ることになります.ダルビッシュ投手のテークバックをみると,手元が体の前に出ており,ボールの位置が非常に浅くなっています.
打者が グリップの位置 を体に密着させないとバットのタメをつくることができないのと同様に,投手もトップポジションの位置を背面後方側にもっていかないと腕をしならせることはできません.この点については,また詳しく解説します.

ダルビッシュ投手のトップポジションでのボールの位置は,背面後方とはとてもいえない位置で,どちらかというと体の前に出ています.このようなトップポジションでは腕をしならせることはできないので,98mphもの速球を投げるということは,内側側副靱帯に過度の負担をかけていることになります.
ダルビッシュ投手はトミー・ジョン手術を受ける前からこのような投げ方をしていましたから,投球動作自体は以前と変わっていません.つまり,現在も内側側副靱帯を損傷する投げ方になっているということです.この浅いトップポジションで98mphの速球を投げることを続けるならば,二度目のトミー・ジョン手術を受ける日も遠くないかもしれません.その前に引退している可能性もありますが.