柳田悠岐選手の打撃理論-センター方向に打つ打球が理想の打球

 柳田悠岐選手の打撃理論-V字スイング に続いて,qooninTV の「柳田悠岐選手「クソ飛びする」V字スイング理論!ホームラン量産の極意」という動画のなかで,柳田選手が語っている打撃理論について解説します.

柳田悠岐選手「クソ飛びする」V字スイング理論!ホームラン量産の極意
柳田悠岐選手「クソ飛びする」V字スイング理論!ホームラン量産の極意 2017/12/22
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=k9QPAeF_go4

センター方向に打つ打球が理想の打球

柳田選手:
打った瞬間にこっち(引っ張り方向)に出るのはダメです.

クーニン:
引っ張り方向は打球はあまりってことです?

柳田選手:
ダメです.こう来るんで(ボールはバッターに向かってくるので),こっち(引っ張り方向)に行くってことは,もう絶対にスイングの軌道がこうなってる.こっち(引っ張り方向)よりこっち(センター方向)に行くってことは,スイングの軌道がこう縦振りになってる.まあ,これじゃないと試合ではホームランを打てない.こっちに引っ張ってホームラン打とうという感じでやってたら,ホームランはあんまり打てないかなと思うんすよ.

クーニン:
じゃあ,あくまでセンターに?

柳田選手:
そうですね,センターに

クーニン:
斜め45°とかの打球で?

柳田選手:
そうです,そうです,そうです.それが多分一番いい,あの,理想の打球だと思います.

クーニン:
そうなんですか.逆に多分ここにいるメンバーほぼそうなんですけど,引っ張りでしかホームランが打てないです.センター方向でホームラン考えたことないんですけど.

柳田選手:
いや,打てます.あとはやっぱ,まあ,もちろんこのバットの軌道とかも大事ですけど,足(脚)の使い方とか,そういうのも,それで全然パワーの伝わり方も違うと思いますよ.

  柳田選手のいっていることは,次の2点です.

  • 縦振りしないと,バットのヘッドが下がって横振りとなり,引っ張り方向に打球が飛んでしまう.
  • ボールはまっすぐ来るので,来た方向(センター方向)に打ち返さないとホームランは打てない.


 まず,一つ目の「バットのヘッドが下がると横振りになる」という件ですが,柳田悠岐選手の打撃理論-V字スイング で述べたように,バットを立ててスイングに入るのは 慣性モーメントを小さくする ためで,インパクト直前まで縦振りを維持しているわけではありません.柳田選手がなぜここまで縦振りにこだわるかというと,右投げ左打ち特有の「左腕(非利き腕)でバットを押し込むことができない」という重大な欠点をもっているからです.バットのヘッドが下がると,利き腕(右腕)が勝って横振りになりやすく,引っ張り方向に打球が飛ぶ(引っかける)ことになるため,そのことを防止する意味合いでこのような発言となっているようです.

 二つ目の「センター方向に打ち返す」については,これは正に「科学する野球」の中心衝突のことをいっています.「科学する野球」バットとボール(球道)とは90°で衝突させる-トンカチの柄とクギとの角度は90°になる で述べたように,投手の投げるボールは打者にまっすぐ向かってくるので,中心衝突を起こすためにはバットとボールを90°で衝突させ,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致するように打たなければなりません.

引用元:科学する野球・打撃篇,p.70,図67(左),科学する野球・打撃篇,p.71,図68(右)

 図67の(ロ)は中心衝突,(イ),(ハ)は偏心衝突を表します.柳田選手の「センター方向に打つ打球が理想の打球」という発言は,図68のように投球線(球道)に対してバットを90°で交わらせて,図67の(ロ)のように投球線(球道)と打球線(弾道)が一致するように打たなければならないという意味で,「科学する野球」と同じことをいっています.

インパクトした後,前にあるもう一個の球を打つイメージ

クーニン:
あと,そのフォロースルーを大きくとおっしゃったんですけど,どうやったら大きくなるのかなっていう.

柳田選手:
そうっすね.イメージはこう当たって,まだ前にボールがあるっていうか,ここ(インパクトのところ)にボールはあるんですけど,ここ(前)にボールがあるイメージで,当たってもう一個の球を打つイメージです.

クーニン:
えっ,それ難しいすね.練習はどういうふうにしたら,そういう感覚をもてるんですか?

柳田選手:
やっぱり,そのティーとかでこの,ボールの内側を打ってたら,勝手にこうバットが入ってくるんで.勝手に前が大きくなるというか,内側を打とうとしたら,絶対バットはこう返らないっす.内側を打つってしたら,こう大きくなる.ボールの内側を打つっていう意識をずっともってたら,前は大きくなります.で,その試合になったら,もうそういうイメージはまったくないんですけど,そういう練習の仕方で,いいボールの捉え方を○○(確認できず)するというか,それは染みこまします.

  柳田選手のいっていることは,次の2点です.

  • インパクトした後,前にあるもう一個のボールを打つイメージをもっている.
  • ボールの内側を打つ意識をもつと,バットは返らず,前が大きくなる.

 これはインパクト後,打ち返す方向にバットを押し込む動作のことをいっています.「科学する野球」インパクト後,両腕は伸ばさなければならない-ケン・グリフィー・ジュニア で述べたように,ボールを強打するためには,インパクト後, 両腕(特に後ろ腕)でボールを押し込む必要があります.

 右投げ右打ち,左投げ左打ちの打者は,後ろ腕が利き腕になるので,柳田選手のように「前にあるもう一個のボールを打つ」ことをイメージしたり,「ボールの内側を打つ」ことを意識しなくても,両腕でボールを押し込むことが可能です.「縦振り」についても同様です.逆にいうと,右投げ右打ち,左投げ左打ちの打者は,このようなことをイメージ,意識して打っていないということです.

 つまり,柳田選手は,右投げ左打ちでインパクト後,後ろ腕(非利き腕)でボールを押し込むことができないという欠点を自覚しているため,インタビューのような打撃理論になっているということです.ですから,柳田選手の理論は,右投げ左打ちのための打撃理論といってもよいと思われます.柳田選手がスイングを矯正するために意識している点は,「科学する野球」で村上豊氏が提唱している中心衝突の理論と全く同じもので,方向性として間違っていないので,今後も活躍が期待できます.