スタンスと中心衝突との関係-スクエアスタンスが最もセンター方向に打ち返しやすい

スタンスの種類

オープンスタンス(左,図⑦),クローズドスタンス(中,図⑥),スクエアスタンス(右,図⑤)
引用元:科学する野球・ドリル篇,p.127

 スタンスの種類は,スクエアスタンス(図⑤),オープンスタンス(図⑦),クローズドスタンス(図⑥)の三つになります.中心衝突を求めるには,球道とスタンスが平行になる必要があるので,スクエアスタンスで構えるのが,基本となります.

スクエアスタンスの利点(右打者を想定)

スクエアスタンスからスクエアステップ(まっすぐ踏み出す)すると仮定すると,スタンスと打ち返す方向が平行になるので,右図のようにバットを打球線(弾道)と90°に交わらせ,インパクト後,両腕を伸ばしてボールに力を伝えやすくなります.
引用元:科学する野球・ドリル編,p.160

 「科学する野球」では,中心衝突を起こすために,バットとボールとを90°で衝突させ,さらにインパクト後,両腕を伸ばしてボールを強打しなければならない としています.

 スクエアスタンスでスクエアステップ(まっすぐ踏み出す)するならば,スタンスと投球線(球道)が平行になるため,バットとボールとを90°で衝突させやすく,また,インパクト後,両腕を伸ばしてボールを押し込みやすくなるという利点があります.

スクエアスタンスは中心衝突を求めやすい(スクエアステップすることが前提)

  • スタンスと投球線(球道)が平行になるため,バットとボールとを90°で衝突させやすい.
  • スタンスと投球線(球道)が平行になるため,インパクト後,両腕を伸ばしてボールを押し込みやすくなる.
  • 投球線(球道)と打球線(弾道)が一致する中心衝突を実現させやすい.

 堂林選手が鈴木誠也選手から「構えた体と平行方向に打ち返す」というアドバイスを受けたことを明かしていますが,確かに,構えた体と平行方向に打ち返せば,スタンスと打球線(弾道)が平行になるので,たとえ偏心衝突(センター方向に打ち返さない)であってもボールに力を伝えやすくなるといえます. 

構えた体と平行方向に打ち返す(右打者を想定)

  • センター方向に打ち返す場合,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致するため,中心衝突となる.
  • 右方向に打ち返す場合,投球線(球道)と打球線(弾道)は一致せず偏心衝突となるが,スタンスと打球線(弾道)が平行になるので,ボールに力を伝えやすくなる.
  • 左方向に打ち返す場合,投球線(球道)と打球線(弾道)は一致せず偏心衝突となるが,スタンスと打球線(弾道)が平行になるので,ボールに力を伝えやすくなる.

右方向に打つ場合(偏心衝突)

 スクエアスタンスからスクエアステップして右方向に打つ場合(図1)

  • 投球線(球道)と打球線(弾道)は一致しないので,偏心衝突となる.
  • スタンスと打ち返す方向は平行にならないため,バットとボールとを90°で衝突させて,インパクト後,右方向に両腕を伸ばしてボールに力を伝えることが難しくなる.
  • 体から手元が離れるため,手打ちとなり,ボールに十分な力を伝えることができない.
  • インパクト後,両腕(右打者の場合,特に非利き腕の左腕)は伸ばしやすくなる.逆にいうと,手打ちになるので,両腕を伸ばしてできるだけボールに力を伝えるようにしないと,ボールは飛ばない.
図1 スクエアスタンスからスクエアステップ(まっすぐ踏み出す)して右方向に打つ場合,スタンスと打ち返す方向が並行にならないので,ボールを強打しにくくなる.
図2 スクエアスタンスからインステップ(右方向に踏み出す)して,クローズドスタンスで右方向に打つ場合,スタンスと打ち返す方向が平行に近づくので,ボールを強打しやすくなる.

 同じ偏心衝突でも,図2のようにスクエアスタンスからインステップ(右方向に踏み出す)して,クローズドスタンスで右方向に打つと,スタンスと打ち返す方向が平行に近づくため,図1よりもバットとボールとを90°で衝突させやすく,また,インパクト後,両腕を伸ばしてボールを押し込みやすくなります.

左方向に打つ場合(偏心衝突)

 スクエアスタンスからスクエアステップして左方向に打つ場合(図3)

  • 投球線(球道)と打球線(弾道)は一致しないので,偏心衝突となる.
  • スタンスと打ち返す方向は平行にならないため,バットとボールとを90°で衝突させて,インパクト後,左方向に両腕を伸ばしてボールに力を伝えることが難しくなる.
  • 体の左サイドに腕を伸ばす体勢になるため,手打ちとなり,ボールに十分な力を伝えることができない.
  • インパクト後,両腕(右打者の場合,特に非利き腕の左腕)は伸ばしにくくなる.
  • 両腕を伸ばしにくくボールを強打できないという欠点を補うため,体幹を回旋して(肩を回して)ボールに力を伝えようとする傾向が見られる.
図3 スクエアスタンスからスクエアステップ(まっすぐ踏み出す)して左方向に打つ場合,スタンスと打ち返す方向が並行にならないので,ボールを強打しにくくなる.
図4 スクエアスタンスからアウトステップ(左方向に踏み出す)して,オープンスタンスで左方向に打つ場合,スタンスと打ち返す方向が平行に近づくので,ボールを強打しやすくなる.

 同じ偏心衝突でも,図4のようにスクエアスタンスからアウトステップ(左方向に踏み出す)して,オープンスタンスで左方向に打つと,スタンスと打ち返す方向が平行に近づくため,図3よりもバットとボールとを90°で衝突させやすく,また,インパクト後,両腕を伸ばしてボールを押し込みやすくなります.

タイトルとURLをコピーしました