大谷選手が右手一本でグリーンモンスター越えのホームランを打てた理由

驚愕の1発にファン「意味不明」

大谷翔平 驚愕の1発にファン「意味不明」「モンスターはどっちよ」 崩されてもグリーンモンスター越え

[ 2021年5月15日 11:22 ]

エンゼルスの大谷翔平選手(26)が14日(日本時間15日)、敵地ボストンでのレッドソックス戦に「2番・DH」で先発出場。第3打席でリーグトップタイの11号ソロを放った。

 0-2の6回、レ軍の先発右腕、ピベッタが投じたナックルカーブをとらえて左中間ソロ。泳がされながらも右手1本で振り抜き、フェンウェイ・パーク名物の巨大なフェンス「グリーンモンスター」を越えた。飛距離は370フィート(約112メートル)、打球速度は102マイル(約164キロ)。本塁打は6日(同7日)のレイズ戦以来で、11号はインディアンス・ラミレスに並ぶリーグトップタイ。日本人メジャーリーガーでグリーンモンスター越えを果たしたのは、井口(ホワイトソックス)、岩村(レイズ)に次ぎ史上3人目となった。

 逆方向へ、しかも体勢を崩されて右手1本で振り抜いたため打球に力が加わりづらい。普通なら本塁打は難しい状況下でも、高さ37フィート(約11メートル)の巨大フェンスを越す驚異の1発にネット上も大騒ぎ。「マジでなんで入るのか意味不明」「片手でグリーンモンスターをぶっ倒した」「モンスターはどっちよ」「あのスイングでグリーンモンスター越えとは…」「天変地異級」「泳いで逆方向にホームランとか…なんか今まで習ってきたバッティングの常識が通用してない笑」などと興奮の声が続々と挙がった。

引用元:https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/05/15/kiji/20210515s00001007256000c.html
引用元:ベースボール・サバント
球種:ナックルカーブ 球速:79.4mph 打球初速度:101.7mph 打球角度:33° 飛距離:370フィート 

 大谷選手が体勢を崩して右手一本で打ったホームランが,高さ約11メートルの「グリーンモンスター」を越えたことで,ネット上でも驚きの声が上がっているようです.崩された体勢でなぜこのようなホームランが打てたのか考えてみます.

崩された体勢でなぜスイングスピードが速くなるのか?

11号ホームランのインパクトの瞬間
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=LsVknN5cccA
【大谷翔平】ホームラン11号!片手一本でグリーンモンスターを攻略!どこまで凄いんだ翔平さん! /2021年5月15日 エンゼルス対Rソックス【全打席ダイジェスト】 

 インパクトの画像では,大谷選手がいつもどおりの ゴルフスイング でワキを大きく空けて打っていることを確認できます. バットとボール(球道)とは90°で衝突させる で述べたように,この打ち方は,バットと肩を打球線(弾道)に対して90°に保ったまま,インパクト後,後ろ腕でバットを押し込む打ち方に反しており,打撃の本質からは外れています.
 なぜ,このようなボールを強打できない打ち方で,打球初速度101.7mph(約164kph)の打球初速度が出せるのかというと,大谷選手の体格が関係しています.大谷選手はインパクトで両腕が伸びてしまい,インパクト後,両腕を伸ばしてボールに力を伝えることはできませんが,両腕が伸びることで回転運動の半径(腕+バット)は長くなってます.大谷は長さ、 俺らは重さで飛ばす-その2 で述べたように,回転運動の角度が同じでも半径が長いほど末端の速度は速くなるので,打球初速度101.7mph(約164kph)が実現できたわけです.ただし,大谷選手のように腕が長い選手がグリップを体から離してワキが空いたままスイングしたからこそ長打が生まれているだけで,一般の体格の選手が真似する打ち方ではありません.
 因みに打球初速度101.7mph(約164kph)は,今季14本のホームランのうち下から3番目の速度,飛距離370フィート(約113m)は下から2番目の飛距離です.グリーンモンスターを越えたからといって飛距離が出ているわけではありません.

ボールに力を伝えるために,右手一本で打っている

引用元:科学する野球・打撃編

 バットとボール(球道)とは90°で衝突させる をご覧になった方はおわかりかと思いますが,ボールを強打するためには,図のようにインパクトのときに,肩とバットが打球線(弾道)に対して90°に交わっていなければなりません.なぜなら,打ち返す方向に体が向いていないと,両腕を強く伸ばしてボールに力を伝えることができないからです.このことは大谷,上林選手のゴルフスイングが否定される理由でもあります.
 

インパクト後,後ろ腕を離す大谷選手
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=LsVknN5cccA
【大谷翔平】ホームラン11号!片手一本でグリーンモンスターを攻略!どこまで凄いんだ翔平さん! /2021年5月15日 エンゼルス対Rソックス【全打席ダイジェスト】 

 大谷選手が腕とバットを一体化させて,回転運動の半径を長くしたまま肩を回せば,打ち返す方向にボールを強打することができません.そこで,後ろ腕を離すことによって肩の回転を止め,図のような肩とバットが打球線(弾道)と90°で交わる体勢を何とか作って,打ち返す方向に力が伝わるようにしているわけです.
 このインパクト後,後ろ腕を離す動作は, ケン・グリフィー・ジュニア選手プホルス選手 にも見られます.片手で打っているわけではありません.

大谷選手が右手一本でグリーンモンスター越えのホームランを打てた理由

  • 両腕が伸ばすことで回転運動の半径(腕+バット)が長くなり,スイングスピードが速くなった.
  • インパクト後,後ろ腕を離すことによって肩の回転を止め,打ち返す方向に力が伝わるようにした.
  • 打撃の本質から外れた打ち方であるため,打球初速度,飛距離は出ていない.今季14本のホームランのうち,打球初速度約164kphは下から3番目,飛距離約113mは下から2番目である.
  • グリーンモンスターを越えたからといって飛距離が出ているわけではない.

 以上のことから,大谷選手が右手一本でグリーンモンスター越えのホームランを打ったとしても,不思議はありません.