右投げ左打ちから見えてくる大谷選手のバッティングの真実-その3-飛距離の秘密①

 右投げ左打ちから見えてくる大谷選手のバッティングの真実-肩を回さずにインパクトする で,後ろ腕を利き腕にしてボールを押し込む方が,よりボールを強打できるため,肩を回してボールを押し込む打ち方では,飛距離が出にくいことを述べました.しかし,オールスター前日に行われたホームランダービーで,大谷選手は500フィート(152.4m)以上の打球を6本打っています.なぜ,ゴルフスイングでこれだけの飛距離を出せるのか,その秘密に迫ります.

 肩を回してバットのタメを作れないのなら,手元でバットのタメを作るしかない

 バッティングでは,肩を回してもバットを後ろに残し,バットのタメをつくります.バットを後ろに残す理由は,スイングできる距離を確保しておかないとスイングを加速できないからです.大谷選手は肩を回さずにインパクトしますから,「肩を回してもバットはまだ後ろに残っている」というスイングのタメをつくることができません.しかし,500フィート(152.4m)以上の打球を飛ばせているので,打撃動作のどこかでバットがタメられている部分があるはずです.

肩を回さずにインパクトするため,肩を回してバットを後ろに残すタメを作ることができない
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9G8RgglTGMo

手元でバットのタメを作る大谷選手 後ろ腕の前腕(肘から手首までの部分)とバットとの角度が小さくなっている.
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9G8RgglTGMo

 大谷選手は肩を回さずにインパクトするため,肩を回してバットを後ろに残すタメを作ることができません.そうなると,手元でバットのタメを作る方法をとらざるを得なくなります.グリップを体から離して構えると,肩が回らず手元が前方に出てしまいます が,「手元は前方に移動してもバットは後ろにタメられている」という種類のスイングのタメになります.

肩を回してもバットを後ろに残し,スイングのタメを作っているケン・グリフィー・ジュニア選手
引用元:https://thedigestweb.com/baseball/detail/id=23893
肩が回らず,前方に移動した手元でバットを後ろに残し,スイングのタメを作っている大谷選手
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9G8RgglTGMo

手元でバットのタメを作るということは,手首を返して打っているということ

 大谷選手が手元でバットのタメを作っているのは,手首を返して打つための布石であると考えられます.右投げ左打ちから見えてくる大谷選手のバッティングの真実-肩を回さずにインパクトする で,肩を打ち返す方向に対して90°で交わらせると,ボールを引っかけてしまうリスクがあることを述べましたが,手首を返す動作も手元を中心とした回転運動となるため,バットを打ち返す方向に対して90°で交わらせると,ボールを引っかけてしまうリスクがあります.つまり,肩を回さずにインパクトする場合と同様に,ここでもまた,バットを遅らせてインパクトするという技術が必要になります.

インパクトの瞬間は,センター方向に打球が飛んでいるように見える
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9G8RgglTGMo
インパクト直後の画像では,右方向に打球線(弾道)を確認できる
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9G8RgglTGMo

 大谷選手のインパクト時の画像を見ると,打球線(弾道)に対してバットが90°に交わっていて,あたかも後ろ腕でボールを押し込み,センター方向に打ち返しているかのように見えます.しかし,次の瞬間,打球線(弾道)は右方向に向いており,大谷選手がボールを引っかけるリスクを回避するために,打ち返す方向に対してバットを遅らせてインパクトしていることがわかります.