右投げ左打ちから見えてくる大谷選手のバッティングの真実-その2-グリップを体から離す理由

28号ホームラン 球種:4シーム 球速:94.7mph 打球初速度:112.4mph 飛距離:356フィート(約108.5m)
Date: 2021-06-29大谷翔平 全打席ダイジェスト 2021/06/30
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9G8RgglTGMo

 右投げ左打ちから見えてくる大谷選手のバッティングの真実-肩を回さずにインパクトする では,大谷選手が「インパクト後,後ろ腕でボールを押し込むことができない」という右投げ左打ちの打者の重大な欠点を持っているため,故意に肩を回さないゴルフスイングを行っていることを28号ホームランの動画を用いて説明しました.
 このゴルフスイングにより,ボールを引っかけることを回避し,体幹の回旋(肩を回すこと)を利用してボールを押し込む方向を,打ち返す方向に近づけているわけですが,このことから構えでグリップを体から離す理由についても説明が可能になります.

グリップを体から離すことで肩が回るのを引き止めることができる

 スイングに入る前にグリップの位置が体からどのくらい離れているかを大谷選手とケン・グリフィー・ジュニア選手とで比較してみます.

Ken Griffey Jr. Home Run Swing – Hall of Fame
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=p0t1KQpDA6w
大谷翔平 全打席ダイジェスト 2021/06/16
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=YuNDRHOM9mM
18号ホームランの打席から画像を引用

 両選手のスイングに入る前の最もグリップの位置が体から離れた位相を比較すると,上腕(肩と肘の間の部分)と前腕(肘から手首までの部分)との角度に違いがあることがわかります.グリフィー選手の上腕は下向き,前腕は上向きになり,V字をつくっていますが,大谷選手は上腕,前腕ともに横に張り出し(少し上向き),V字はみられません.大谷選手のグリップの位置が捕手側にかなり離れていることがわかります.
 大谷選手のようにグリップを捕手側に離しておくと,グリップが肩を回すのを引き止める役割を果たします.上腕と前腕が捕手側に直線的に張り出すと,肩を回す際の回転半径が大きくなり, 慣性モーメント が大きくなります.慣性モーメントが大きくなると,肩が回りにくくなるので,大谷選手が意図するように肩を遅らせてインパクトすることができます.

肩を回してもバットのタメができるように,グリップを体に密着させて構えるケン・グリフィー・ジュニア選手
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=WtQ9M2YD_DI
肩を回さずにインパクトするため,グリップを体から離して構える大谷選手
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=VQ3W8vEcu48

  大谷選手が作られた打者(右投げ左打ちの打者)の重大な欠点をもっていると仮定すると,インパクト後,後ろ腕を利き腕にしてボールを押し込むことができない → 体幹の回旋(肩を回す)を利用してボールを押し込むしかない → 打ち返す方向に対して肩を90°に交わらた状態で肩を回すと,ボールを引っかけるリスクがある → 故意に肩を遅らせてインパクトすることによってボールを引っかけるリスクを回避し,肩を回す角度を大きくすることによってボールを押し込む力を大きくしようとする → 肩を回さずにインパクトするために,グリップを体から離して構える,というふうに,大谷選手のバッティングの全貌が次から次へと明らかになってきます.