空手打法

空手打法

 空手打法とは「科学する野球 (打撃篇) 」(1985)の著者村上豊氏によって提唱された打撃動作の一つです.空手打法の内容について説明します.

 空手打法では, バットは柾目で打たなければならない-「空手打法」の根拠 でも説明していますが,ボールを強打するためにはバットの柾目で打たなければならないということが前提になります.図2のように板目で打つと,強打できないばかりか,バットを折る可能性があります.

 引用元:科学する野球・打撃篇,p.25

 柾目で打つためにバットをどのように握ればよいかというと,バットの真ん中の木目を取り出して,この真ん中の木目で打つときの握りを確認すればよいことになります.

引用元:科学する野球

  上図のように真ん中の木目をトンカチに置き換えて,クギ(球道)打つときの握りを確認すると,下図のようにクギを強く打ち込むには,トンカチと手を平行にしなければならないことがわかります.

クギを強く打ち込む(ボールを強打する)ためには,トンカチと手が平行になる.
引用元:科学する野球・打撃篇,p.34

この図では左手の背屈が足りず,トンカチと手が平行になっていないが,クギを強く打ち込む(ボールを強打する)のであれば,平行になるはずである.
引用元:科学する野球・打撃篇,p.31

 トンカチとトンカチを握る手は平行になるので,バットの真ん中の木目とバットを握る手も平行になります(下図).

引用元:科学する野球・打撃篇,p.34
上図(右)と同じく,本来ならば左手はバットの木目と平行になるはずである.
引用元:科学する野球・打撃篇,p.31

 クギを打ち込むときに手が平行になるところを空手打ちにたとえて,「空手打法」と命名されています.

引用元:科学する野球・打撃篇,p.34
引用元:科学する野球・打撃篇,p.31

 クギに対してトンカチを握る手が平行になるということは,投手の投げるボールの軌道に対してバットを握る手が平行になるということです.イラストではクギ(球道)が地面と平行になっているので,ボールの軌道が落ちることなくまっすぐ向かってくる想定になっていますが,実際の投手の投げるボールは落ちてくるので,クギは捕手の方に下がります.

 捕手側に下がっているクギを打ち込むためには,多少 アップスイング にしなければならないので,バットを握る手も少し上向きになります.

ストレートの軌道は落ちてくるので,スイングは多少アップスイングになる.
柾目で打つため,手はアップスイングの軌道と平行になる.
に引用元:科学する野球・実技篇,p.194

 インパクト後,ボールを押し込むのは後ろ腕(利き腕)が主となるので,後ろ腕の手(トップハンド)の手は必ず空手でスイングの軌道と平行に握る必要がありますが,前腕の手(ボトムハンド)は舵取りの役割も担っているため,そこまでの厳密さは求められないのかもしれません.

空手打法を行うバリー・ボンズ
引用元:https://www.denverpost.com/2018/06/29/rockies-killer-barry-bonds-reminisces/

 村上豊氏の指摘どおり,MLBの一流選手が空手打法を行っていることが確認できます.

ハンク・アーロン
トップハンドはアップスイングに合わせた空手になっているが,ボトム・ハンド空手になっていない.
引用元:https://sabr.org/journal/article/properties-of-baseball-bats/