667本塁打を打ったプホルス選手のバッティング-カージナルス時代とエンゼルス時代との比較

エンゼルス・プホルスに「戦力外通告」

エンゼルス・プホルスに「戦力外通告」 歴代5位の667本塁打 現役続行希望も高額年俸ネック
5/8(土) 5:30配信

 エンゼルスは6日、歴代5位で現役最多667本塁打のアルバート・プホルス内野手(41)の事実上の戦力外を発表した。

 マリナーズのイチローがメジャーに移籍した01年。カージナルスにも新星が現れた。当時21歳のプホルス。同じ4月2日にデビューし、メジャー1号も同じ4月6日だった。この年、打率・329、37本塁打、130打点をマーク。新人王はア・リーグはイチロー、ナ・リーグは満票でプホルスが選ばれた。

 当時は「ステロイド全盛」の時代。イチローがスピードとバットコントロールで旋風を巻き起こせば、プホルスは筋肉増強剤とは無縁のしなやかな肉体から繰り出すパワーと技術で魅了した。ドミニカ共和国出身だが、家は貧しく、16歳で米国ニューヨークに移住。若くしてスターになったが、浮かれることなく、常に冷静で紳士的だった。9月11日、米中枢同時テロが発生。MLBは1週間の中断後、「テロに屈しない強い米国」の象徴としてシーズンは続行された。米国の野球ファンは、殿堂入りが確実視される2人のプレーに歓喜した。

 それから20年。イチローが19年に引退し、01年を知る最後の選手だったプホルスがエンゼルスから事実上の戦力外通告を受けた。本人は現役続行を希望するが、年齢や打撃の衰えなどから米メディアは「移籍先探しは難しい」とみる。一時代の終焉(しゅうえん)を告げる一日となった。

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/782cd0926f9d525daadb327284f9a16891cfa6a1

プホルス選手の情報

  • 身長:約190.5 cm
  • 体重:約106.6 kg
  • 右投右打
  • 1999年 MLBドラフト13巡目(全体402位)
  • 首位打者1回:2003(.359),本塁打王2回:2009(47),2010(42),打点王1回:2010(118),最多安打1回:2003(212)
  • メジャーデビューから10年連続での3割30本100打点を達成。
  • しばしば薬物使用が噂になるが,現在のところ使用した証拠は何ら存在せず、憶測で疑われているのみである。一般的にはクリーンな選手として評価されているため、将来の野球殿堂入りが確実視されている。
  • ステロイド使用の疑いに対して不快感を露にしており、「昨年は6回検査を受けた。それで不十分だと言うならば毎日だって検査を受ける。もし検査で陽性反応が出た場合、これまで稼いだ年俸の全てを球団に返上する」とまで発言して、ステロイドに対して極めて厳格な姿勢をとっている。
  • 敬虔なキリスト教徒として知られ、本人は「社会的規範」になることを目指している。チャリティ活動に熱心で、特にダウン症児とその家族の支援に力を注いでいる。というのも、2000年1月1日に結婚したデイドル夫人の連れ子である娘のイザベラがダウン症児であるためである。
  • 2005年、プホルス一家はダウン症児とその家族の生活を支援するための基金を設立した。それらの支援活動が高く評価され、2008年10月25日、ロベルト・クレメンテ賞がプホルスに贈られることがメジャーリーグベースボール機構より発表された。

    ※ウィキペディアより引用

カージナルス(2001-2011)とエンゼルス(2012-2021)での成績の違い

2011年オフにエンゼルス入りして以来、下半身の負傷に悩まされ続けている。2012年シーズンに右ひざの手術を受けたのを皮切りに、翌13年はシーズン途中で左足の足底腱膜炎の手術を受け後半戦を棒に振った。さらに15年オフに右足の手術、翌16年オフにも右足の足底腱膜の手術を受けており、毎年のように手術を受けざるを得なかった。また手術を受けることでオフの調整も順調に進まず万全の体調でシーズンに臨めないこともあり、近年は守備機会が減りDHでの出場が多くなっている。

引用元:ウィキペディア

 引用文には,エンゼルスに移籍した2012年以降,下半身の負傷のため毎年のように手術を受けざるを得なかったと記載があります.このコンディション不良の影響により,プホルス選手の成績はカージナルス(2001-2011)時代の好成績から急降下しています.

カージナルスとエンゼルスでの成績の比較(~2020)
球団試合安打本塁打打点打率
カージナルス(2001-2011)11年間1,7052,0734451,329.328
エンゼルス(2012-2020)9年間1,1571,163217771.257
MLB:20年2,8623,2366622,100.299
引用元:ウィキペディア

 カージナルスでプロ1年目から10年連続で3割以上をキープ(11年目は.299)していた打率が,エンゼルスの9年間で.257まで落ち込んでいます.

カージナルス時代のバッティング

引用元:Albert Pujols Perfect Swing https://www.youtube.com/watch?v=V89JddTPKB4

 動画はオールスターのホームランダービーでのバッティングです.おそらくカージナルス在籍時のものと思われます.スイングの途中から始まっており,構えなど始動は確認できませんが,「入」の形で打っていることは確認できます.また,ケン・グリフィー・ジュニア選手と同様にインパクト後,後ろ腕をバットから離す動作も見られます.

「入」の形で打つプホルス選手 両腕もきれいに伸びている

後ろ腕をバットから離して肩が回らないようにしているプホルス選手.インパクト後,両腕を伸ばしてボールに力を伝えるときに,打球線(弾道)に対して肩とバットを90°に保っていないとボールを強打できないという理由による.この後ろ腕をバットから離す動作はケン・グリフィー・ジュニア選手にも見られる.

エンゼルス時代のバッティング

引用元:Albert Pujols Home Run Swing Slow Motion 2019-1(#3) https://www.youtube.com/watch?v=ffhcxcINLMw

肩を回してもバットは後ろにタメられている.
肩を回して,肩とバットを打球線(弾道)に対して90°近くになっているため,顔の向きが正面を向いている. 
前脚の膝が曲がったままインパクトしていることから,下肢のエネルギーを利用せずに打っていることがわかる.
トップ・ハンドの掌屈,ボトム・ハンドの背屈が見られず空手打法になっていない.
インパクト後,両腕が完全に伸びていないので,ボールに十分な力が伝わっていない.
下肢のエネルギーを取り込んでいないため,「入」の形で打てていない.

 この動画は2019年(131試合,打率.244,23本塁打,93打点)のものです.フライング・エルボーから肘を先行させバットのタメをつくっているところはよいのですが,インパクトでは空手打法になっていません.また,前脚の膝が曲がったままインパクトしていることから,下肢のエネルギーを利用せずに打っていることがわかります.下肢のエネルギーを取り込んでいないため,「入」の形 で打てていません.この打撃動作の内容で667本もホームランを打てるはずがないとなります.
 2012年からの下半身の負傷の影響により,カージナルス時代のすばらしいバッティングから別人のバッティングに変わってしまったのはとても残念なことです.