ワキが締まることで得られる2つの利点

グリップが体から離れるほどバットをタメることができなくなる

 打撃動作においては,肩を回してもバットをタメておくことが重要になります.バットのタメがないと,スイングする距離を確保できず,バットを速く振ることができません.肩を回してもなるべくバットを後方に残してスイングする距離を確保し,スイングスピードを加速させることが必要です.

 バットをタメるには次の2つのポイントが関わってきます.

ワキが締まるとグリップの前方移動にブレーキがかかる

 一度試してもらいたいのですが,ワキを空けたまま肩を回してバットを後ろに残そうとしてみてください.肩を回しきらないうちにグリップが前方に動いてしまい,バットを後ろに残すことが難しくなります.ワキが締まると上腕が体に密着して,グリップが前方に移動するのを阻止することができるので,バットを後ろに残すことができます.

ブライス・ハーパー選手
ボールが目の前に見えているが,この時点でもバットが後ろにタメられている.
ワキが締まり,グリップが前方に出ていない.
引用元:Bryce Harper Home Run Swing Slow Motion 2019-1(#8) https://www.youtube.com/watch?v=Mj02QN4g7W4

ワキが締まると体にバットを巻きつけることができる

 ワキが締まった状態ではグリップが体に近く,バットを体に巻きつけるようにして後方に残すことが可能ですが,グリップが体から離れるとバットを体に巻きつけられなくなり,その分バットが前方に出てきていまいます.

グリップが体から離れるほどインパクト後,両腕を伸ばす力が弱くなる

 ボールを強打するためには,インパクト後,両腕を伸ばしてボールを打ち返す方向に力を伝えなければなりませんが,グリップが体に近い状態とグリップが体から離れた状態では,どちらが両腕を力強く伸ばせるでしょうか? 当然,グリップが体に近いほうが両腕を力強く伸ばせます.つまり,ワキが締まっているときがインパクト後,最もボールを強打できるということです.逆をいえばワキが空くほどボールを強打できなくなります.

ブライス・ハーパー選手
ワキが締まりグリップが体に近くなるため,インパクト後,両腕を力強く伸ばしてボールを強打できる.
引用元:Bryce Harper Slow Motion Home Run Swing – 6/30/21 vs Marlins https://www.youtube.com/watch?v=Dgt4Su139tg

外角球の打ち方でわかるハーパー選手と筒香選手の差

外角球をセンター方向(左中間寄り)にホームランを打つブライス・ハーパー選手
引用元:ベースボール・サバントhttps://baseballsavant.mlb.com/sporty-videos?playId=7b2143fe-07c0-4b19-b9d5-d280ffb6f18e
外角球を左中間方向にレフトフライを打つ筒香嘉智選手
引用元:ベースボール・サバントhttps://baseballsavant.mlb.com/sporty-videos?playId=c6a4318c-3bd5-46ee-86ab-0c9407f0f5cd

 外角球の場合,ミートポイントが遠くなり,ワキが空きやすくなる傾向があります.同じ外角球でも筒香選手は肩が回っておらず,ワキが空いたままインパクとしていますが,ハーパー選手はワキを締めて肩も回っています.ワキを締めて肩を回しているということは,バットのタメができているということです.筒香選手はワキが空いているため,肩が回りきらないうちにグリップが前方に出てしまい,手打ちになっています.