筒香選手が打てない理由-その2

 筒香選手が打てない理由 で,①グリップの位置が体から離れる,②低めのコースしか打てない,の2点について説明しました.引き続き後半の2点について説明します.

③ステップするタイミングの難しさ

 筒香選手はステップ足の着地後,すぐに前脚を突っ張らせてスイングに入ります.その際,一次運動エネルギーを大きくするため,ステップする前足を高く上げ位置エネルギーを大きくして着地するときに運動エネルギーへ変換します.
 MLBの一般的な打ち方では,ステップ足が着地した後,膝関節を伸ばして下肢から二次運動エネルギーを取り込むまでに少し間ができますが,筒香選手の場合,二次エネルギーを利用せず,すぐにスイングに入るため,間がありません.一回のタイミングでステップを合わせる必要があり,そのため前足を踏み込むタイミングが難しくなり,速いボールに差し込まれることが多くなると考えられます.

前脚を突っ張らせて前方移動にブレーキをかけ,上体を突っ込むようにインパクトする筒香選手.
一次運動エネルギーを最大限に利用しようとしているのはわかるが,この打ち方では,ステップ足着地後,間が取りづらくなる.
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=yDmB7hcNd1U

前足を高く上げてステップのタイミングを計る筒香選手.写真(上)のような特殊な打ち方のため,ステップするタイミングが難しくなり,速球に差し込まれる傾向がある.
一次運動エネルギーを最大限利用する打ち方のため,摺り足のステップはできない.
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=yDmB7hcNd1U

④インパクト後,後ろ腕でボールを押し込むことができない

 右投げ左打ちの限界-その2 で述べたように,右投げ左打ちの選手はインパクト後,後ろ腕(非利き腕)でボールを強く押し込むことができません.作られた左打者はMLBの球威のあるボールに力負けすることになるので,筒香選手が95mph以上の速球を打てないのは当然といえます.
 筒香選手は一見,インパクト後,両腕が伸びているように見えますが,よく見ると,前腕は曲がったままです.右投げ左打ちの打者は,後ろ腕を強く伸ばすことができないため,肩を回してパワー不足を補おうとします.このとき肩を回すと横殴りのスイングとなり,打ち返す方向に力がうまく伝わらなくなるので,前腕を曲げたまま肩を回し,力が伝わる方向が打ち返す方向に近づくように調整しています.この前腕を曲げたまま肩を回す打ち方は,後ろ腕でボールを押し込むことがでない右投げ左打ちの打者によくみられる動作です.ケン・グリフィー・ジュニア選手や門田博光選手のような利き腕でボールを押し込むことができる打者と比べると,パフォーマンスの低下は避けられません.

一見,両腕が伸びているように見えるが,前腕は曲がったままになっている.後ろ腕でボールを押し込むことができない作られた左打者によく見られる打ち方.
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=yDmB7hcNd1U

筒香選手がMLBで活躍できる可能性

 筒香選手が打てない理由として次の4点を挙げました.

①グリップの位置が体から離れる
②低めのコースしか打てない
③ステップするタイミングの難しさ
④インパクト後,後ろ腕でボールを押し込むことができない

 ①は日本人選手に多く見られる特徴です.本人が②,③は筒香選手の特殊な打ち方(前脚を突っ張らせて前方移動にブレーキをかけたときに発生する運動エネルギーを利用する)に由来しているもので,打ち方を変えない限り改善されません.④は右投げ左打ちの打者が背負うことになるデメリットで,余程の努力をしないと左投げ左打ちの打者のように打つことはできないでしょう.改善できるとすれば①のみとなりますが,筒香選手が打ち方自体を変えることは考えにくいため,今後も打撃不振が続くことになると思われます.投手の球に力のあるMLBで活躍することは難しいと考えられます.