上林選手が復活するためには何が必要か-その5

 上林選手が復活するための具体的な方法について説明します.これは同じ症状を抱えている大谷選手にも当てはまります.

グリップの位置を体に近づけ,打ち出しの位置に構える

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=WtQ9M2YD_DI (左),https://www.youtube.com/watch?v=gs702LIvnfk(右)
ケン・グリフィー・ジュニア選手と上林選手の構えの比較


 上林選手の打撃不振は,グリップの位置が体から離れていることから引き起こされているので, グリフィー選手のようにグリップの位置を体に近づける必要があります.グリップを体に近づけると,ワキが締まり,肩を回してもバットを後ろに残すことができます.バットのタメがないゴルフスイングはこれで解消されます.


引用元:https://thedigestweb.com/baseball/detail/id=23893
肩をここまで回してもバットをタメているケン・グリフィー・ジュニア選手
グリップを背面後方側に固定しておくとワキが締まり,利き腕(左腕)の上腕が体に密着する.上腕が体に密着することによって,両腕の前方移動にブレーキがかかるため,肩を回してもバットを後ろに残すことができる.


構えをどうしても変えたくないときは,スイングに入るまでにグリップを体に近づける

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9AWchhK2raA 


 動画は1990年オールスター第2戦で 落合選手が野茂投手からホームランを打ったときのものです.落合選手は上林選手,大谷選手と同様に構えでグリップの位置を体から大きく離します.しかし,スイングに入る前には体に近づけています.
 しかも,落合選手は前足をステップするギリギリまで,グリップが前に出ないように肩を回してグリップを体に近づけたまま背面後方側に保っています.これはグリフィー・ジュニア選手がスイングに入る前におこなっている動作と同じ動作です.三冠王を三度達成している落合選手は,グリップを体に近づけておかないと打てないということをわかっています.
 長年続けてきた構えを変えることは,なかなか難しい側面がありますので,どうしても構えを変えることに抵抗がある場合は,落合選手のように,構えでグリップが体から離れていても,スイングに入る前までに体に近づける方法をとらざるをえません.ただし,構えからグリップを移動する時間がかかるため,速いボールに振り遅れるデメリットがあります.


引用元:https://www.youtube.com/watch?v=9AWchhK2raA
構えではグリップが体から離れているが,スイングに入るときにはグリップを体に近づけ,背面後方側に保っている.


 落合選手のように肩を回してグリップの位置を背面後方側に固定したままスイングに入ると,ワキが締まりバットのタメをつくることができます.投手が肩を回して捕手に正対しても,腕が後ろに残ってしなりができるように,打者もグリップを背面後方側に固定したままスイングすれば,肩が回っても腕と手は後方に残り,バットを後ろに残すことが可能になります.
 上林選手と大谷選手は,バックスイングで肩を回してグリップの位置が背面後方側に近づいているように見えますが,グリップと体との距離は構えのときと同じく離れたままで縮まっていないので,肩を回したとしても結局,ワキが空いたままスイングすることになります.


「体の幅の中で打つ」という考えを捨てる

 上林選手が復活するためには何が必要か-その4 で,上林選手が「体の幅の中でインパクトしたい」という意識があることを紹介しました.上林選手はボールを前で捉える意識はあるということですが,体の幅の中でインパクトしようとすれば,どうしてもポイントが手前になり,肩が回るのが遅れてしまう可能性があります.
 肩が回るのが遅れると,スイングのタメがないゴルフスイングに近づきますから,「体の幅の中でインパクトしたい」という意識は捨てるのが賢明です.「グリップを体に近づけ,背面後方側に保ったままスイングする」ということを意識することが重要になります.
 また,インパクトのポイントを意識すると,フルスイングすることが難しくなると思われます.投手は,おそらく腕をしならせて投げるという意識はあっても,リリースポイントまでは意識していないはずですから,打者の場合も,インパクトのポイントを考える必要はなく,「腕をしならせてスイングする」ということのみ意識するほうがよい結果を生むと考えられます.

 

上林選手が復活するために必要なこと

 上林選手が復活するために必要なことを以下にまとめます.

①グリップを体に近づけ,背面後方側に保ったままスイングする.
②構えをどうしても変えたくない場合は,構えはそのままで,スイングに入る前までにグリップを体に近づけ,背面後方側に保ったままスイングする.
③「体の幅の中でインパクトしたい」という意識は捨てる.
④インパクトのポイントは考えず,「腕をしならせてスイングする 」ということのみ意識する.

※①はケン・グリフィー・ジュニア選手,②は落合博満選手がおこなっている動作です.

 以上のことを実行することができれば,ゴルフスイングが解消され,バットをタメてスイングすることが可能になります.もし,今後もグリップの位置を体から離した現在の打ち方を続けるならば,上林選手が復活する可能性は限りなくゼロに近づくと思われます.上林選手はグリップの位置を修正するというちょっとしたことで復活の手がかりを掴むことができるのですが,打撃不振の原因に気づかないまま,現在の打ち方を続けて悪戦苦闘しているのは,非常にもったいないことです.