「科学する野球」バットとボール(球道)とは90°で衝突させる-トンカチの柄とクギとの角度は90°になる

トンカチの柄とクギとの角度は90°になる

引用元:科学する野球・打撃篇

 図66を見てください.トンカチの頭の打撃面とクギの頭とがどういう角度で衝突するかによって,㋺のように中心衝突を起こす場合もあれば,㋑や㋩のように偏心衝突を起こす場合もあります.
 そこで,トンカチとクギとを中心衝突させるには,㋺で見られる通り,トンカチの柄とクギとの角度を九〇度にしなければならないことがわかります.㋑の偏心衝突では,トンカチの柄はクギに対して九〇度より鈍角であり,㋩の偏心衝突では,九〇度より鋭角になっています.いうまでもなく㋑㋩の偏心衝突では効果的な打撃は求められません.
 これは,バットとボールとの衝突においても同じような現象がみられます.そこで,図66の㋑㋺㋩の衝突角度にならって,バットとボールとの衝突を描いてみますと,図67の㋑㋺㋩ となり,㋑と㋩は偏心衝突,㋺は中心衝突です.㋺は中心衝突では,バットとボールとが九〇度の角度で衝突していることはいうまでもありませんが,インパクトの時点でバットがボールと九〇度で中心衝突したときの衝撃(球の力)に耐えるには,図68の通り,トップ・ハンド側の前腕部がバットと九〇度の角度を保てませんと力の均衡がはかれません.

引用元:科学する野球・打撃篇


引用元:科学する野球・打撃篇 ※写真はテッド・ウイリアムズ選手  


ミート・ポイントの論争に決着をつける

 また,その前腕部も腕の力だけではなく,肩の力(注・肩の力はテークバックのトップの位置からミート・ポイントまで肩を回すことによって生まれる.)をも合力しなければ,球の力に打ち勝つことができないから,写真22のように,両肩を球道に対して九〇度になるまで回すことが必要となります.
 ということは,インパクトの時点で,バットが九〇度の角度でボールを捉えるには,バットと両肩の線が並行でなければならないということになります.
 ですから,両肩の線が球道と九〇度以上の鈍角で交われば,バットは図67の㋑となり,九〇度以下の鋭角で交われば,バットは図67の㋩となり, その結果はいずれも偏心衝突を起こすことになります.図69はトップ・ハンド側の前腕部とバットとが鋭角でインパクトし,ボールに食い込まれているのがよくわかります.
 日本の野球界では,ミート・ポイントについて,「前で打て」とか,「呼び込んで打て」とか,「引きつけて打て」とか,あるいは「ホームベースの一〇センチ前で打て」とか,また「前足のカカトの前でミートせよ」とか,指導上いろいろのことがいわれていますが,これらの表現は,いずれも指導者の個人個人が経験的に感覚的に捉えたものであり,物理的に解明されたものではありません.
 中心衝突を求めるために,バットとトップ・ハンド側の前腕部と両肩の線を,それぞれ九〇度の角度に保ち,バットが球道に九〇度で交わる点がミート・ポイントであると物理的に定義づけると,いままでミート・ポイントについていろいろ論争されてきましたが,これで決着するはずです.

引用元:科学する野球・打撃篇


 トンカチでクギを強く打ち込む(中心衝突させる)には,トンカチの柄とクギとの角度を90°にしなければならないので,図68のように両肩を結ぶ線とバットが並行になり,それぞれ球道に対して90°になります.球道に対して打ち返すことになるため,投球線(球道)と打球線(ミート・ポイントからボールが打ち返され得る球筋)が一致します.