渡部健人選手(西武ドラフト1位)のバッティング

前方移動に急激なブレーキをかけて,大きな一次エネルギーを生み出す

【西武ドラ1】「おかわり3世」渡部健人 驚愕パワー!特大アーチを放つ

 

インターネットの情報によると,渡部選手は日本人の父親とフィリピン人の母親を持つハーフとのことです.甲子園出場経験はなく,高校通算本塁打が25本,大学通算60試合の成績は, 打率.293、60安打、10本塁打、37打点( 桐蔭横浜大学・神奈川大学野球連盟) で,大学日本代表候補となっています.

前足が着地したときに,後ろ足がフリーフット(地面から離れる)になっている.

 渡部選手の最大の特徴は,前足が着地したときに後ろ足がフリーフット(地面から離れる)になることです.「人」の形で打つ で述べたように,ステップによる前方移動にブレーキをかけて, 前方移動の運動エネルギー(一次エネルギー )をスイングに利用する必要があります.
 運動エネルギーは,並進運動エネルギーと回転運動エネルギーに分けられ, 前方移動の並進運動エネルギー は1/2mv2 で表されるので,112kg(m)という体重が有利に働き,大元の一次エネルギーを大きくすることができます.後ろ足がフリーフット になるということは,前方移動に急激なブレーキがかけられている証拠で,大きなエネルギーをスイング(体幹の回転運動エネルギー)に利用できるため,飛距離につながっていると考えられます.

NPBでは,体重のある選手は「人」の形で打たなくてもボールに力負けしない

完全な「入」の形 にはなっていない.

 ただし,「入」の形(右打者の場合)で打つことができているかというと,きれいな「入」の形とは言い難く,前脚の膝関節を伸展して下肢のエネルギー(二次エネルギー)を上肢に伝達するという動作は不十分といえます.NPBでは,体重のある打者は一次エネルギーを利用するケースがほとんどです.

 打った直後に前足がすぐに離れているので, 「入」の形で打てていないことがわかる. 「入」の形で打てていれば,後ろに体重がかかるため,前脚がイエリッチ選手のように残る 傾向がある.

空手打法は確認できるが,インパクト時に肩が今ひとつ回っていないため,バットのタメは小さい.

 フライング・エルボー については,グリップを上げた反動を利用してスイングを加速していますが,バットを立てて手元を下げる動作は行われていません.構えのグリップの位置はやや高めで,体からの距離は離れすぎてはいませんが,密着もしていません.
 渡部選手は 「科学する野球」のチェックポイントをすべて満たしていません.その満たしていない部分を,重量級の体格を活かした前方移動の運動エネルギー(一次エネルギー ) と 空手打法 でカバーする打撃動作となっています.
 NPBではMLBに比べ投手の球速が劣るため,「入」の形で打てていなくて力負けすることが少なくなります.中村剛也,山川穂高両選手のように活躍できる可能性があると考えられます.