「人」の形で打つ大谷選手

村上豊氏の指摘

 前回の記事で,キム・ジェファン選手がボールを打った後に,体幹が後方に倒れ,前脚の膝が伸びて前足のかかとが地面と接することを紹介しました.実はこの他にも,インパクト後に両腕が伸びたときに前脚と体幹が一直線になるという打撃動作の特徴があります.左打者であれば「人」 ,右打者であれば「入」の形になります.

 この動作は,「科学する野球」の著者である村上豊氏によって,30年以上前にすでに指摘されています.ただ,村上氏は前脚に体重を乗せて軸として打つことの重要性を説いていましたが,実際は下肢から生み出したエネルギーを上肢に伝達して体幹を回旋,後傾することで,バットのヘッドスピードを速くしています.

「人」の形で打つ大谷翔平選手
「人」の形で打つ大谷翔平選手 引用元:https://www.youtube.com/watch?v=uOYjB3H2eOo

NPBでも「人」の形で打っていた大谷選手

 大谷選手が 「人」の形で打ってい ことは,能力の非凡さを証明しています.この打法では,下肢のエネルギーをスイングスピードに利用できるため,飛距離が出ることが特徴です.この打法を身に付ければ必ずMLBで40本ホームランを打てるかというと,必ずしもそうとはいえませんが,MLBで活躍するには必要不可欠な動作といえます.大谷選手は当てるのがうまいので,個人的にはアベレージヒッターのほうが成功するのではないかと思います.

NPBでも 「人」の形で打っていた大谷翔平選手
NPBでも「人」の形で打っていた大谷翔平選手 
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=o5WxFKSz0Fo

 大谷選手はNPBでは前足を上げてステップしていましたが,MLBでは投手の球速が速く,前足を上げると差し込まれてしまうため,少しだけ足を上げるステップに修正しています.動画を見ると日ハムのときからすでにこの日本人にはなかなか真似できない打法を修得していることがわかります.成績は別として,素質自体はすばらしいものを持っている選手といえます.

「人」の形で打つキム・ジェファン選手
完全な「人」の形にはなっていないキム・ジェファン選手 
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=-H1mOO7fENU

 因みにキム・ジェファン選手も「人」の形で打とうとしていますが,体幹の後傾が少し足りていません.大谷選手の方が完全な「人」の形になっています.