「 2021年01月 」一覧

秋山選手の球種別打率 2020 対右投手

 秋山選手のMLB1年目は,54試合に出場し,打率.245,0本塁打,9打点,7盗塁という成績でした.

速球系(Fastballs:4シーム,2シーム,カッター,シンカー)

秋山翔吾 球種別打率 2020 対右投手 速球系
対右投手球種投球割合 %打席安打打率
速球系4シーム41.34814.292
カッター3.240.000
シンカー17.9214.190
全球種62.47318.247
引用元:ベースボール・サバント

 秋山選手の速球系の打率は.247ですが,4シームは.292と少し打率が高くなっています.動画をみると95mphの速球にも対応できているようです.


球種:4シーム 球速:96.2mph 引用元:ベースボール・サバント


埼玉西武ライオンズ 秋山翔吾 バッティングフォーム&バッティング スローモーション(右中間へのホームラン)
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=StymileNkZk

 秋山選手はバックスイングで足を上げた後,いったん体を静止して,足でタイミングをとってからステップしています.これだけ足を上げている時間が長いにもかかわらず,96mphの球速に振り遅れることなくスイングできています.筒香選手のほうがまだ足を上げている時間は短いと思われますが,筒香選手は速球系を打てず,秋山選手は対応できているようです.
 なぜこのような違いが起こるのかというと,スイングのスタイルが関係しています.筒香選手が長距離打者でフルスイングするのに対して,秋山選手はどちらかというと当てるタイプの打者で,当ててから腕を伸ばしてプッシュ・スイングをおこなっています.筒香選手は前脚を突っ張らせて前方移動にブレーキをかける特殊な打法のため,タイミングのとり方が難しくなっていると思われます.当然ですが,当てるタイプの打者のほうが速球に対応しやすくなります.


 この動画をみてもわかるように,秋山選手はバリー・ボンズ選手のような グリップを上下させるバックスイング もおこなっていませんし,「人」の形で打つこともおこなっていません.2017-2019年に3年連続で20本以上の本塁打を記録していますが,当てる要素が大きい打者と見受けられます.

空手になっていない. 
「人」の形になっていない.
インパクト後,体幹の後傾がみられず,すぐに前脚が曲がっているので,下肢のエネルギーをとり込む第二動作はおこなわれていない.


スロー系(Offspeed:SFF,チェンジアップ,フォークボール,スクリューボール)

秋山翔吾 球種別打率 2020 対右投手 スロー系
対右投手球種投球割合 %打席安打打率
スロー系SFF0.420.000
チェンジアップ11.7195.263
全球種12.1215.238
引用元:ベースボール・サバント
SFF=スプリットフィンガー・ファストボール

 秋山選手のタイミングのとり方であれば,遅いボールにも対応できるはずですが,チェンジアップをあまり打てていないようです.


変化系(Breaking:スライダー,カーブ,ナックルカーブ,スローカーブ,ナックル,スローボール )

秋山翔吾 球種別打率 2020 対右投手 変化系
対右投手球種投球割合 %打席安打打率
変化系スライダー13.0194.211
カーブ9.5176.353
ナックルカーブ2.941.250
スローカーブ0.10.000
全球種25.54011.275
引用元:ベースボール・サバント
※データなしのため,確認できず.

 筒香選手と同様にカーブは3割以上打っています.チェンジアップもまったく打てていないわけではないので,徐々に遅いボールにも対応できる可能性はあると思われます.


大谷,筒香,秋山選手のなかで,MLBで最も活躍できる選手は誰か

 3選手の動作を確認したところでは,秋山選手が一番活躍できる可能性が大きいと考えられます.MLBで長距離砲として活躍するには,本サイトで紹介している「科学する野球」が提唱する動作のポイントを満たしている必要がありますが,そのような選手がNPBになかなか見当たりません.まず「人」の形で打てている選手がいません.大谷選手は「人」の形で打てていますが, グリップの位置ゴルフスイング がネックになっています.
 もし,秋山選手が長打を捨てて,単打を打つことに専念するということなら, 「科学する野球」の条件を満たしていなくても,活躍できる余地があります. いわゆる当てるタイプの打者の方が通用する可能性があるということです.「科学する野球」 は,野球の基本である「できるだけ速いボールを投げる,できるだけ遠くにボールを飛ばす」という暗黙の了解に則って書かれた野球技術書です.特に長打は必要ないということなら,単打だけに徹するという選択肢もあります.残念ながら現状では日本人選手は長距離,中距離ヒッターではMLBで目立った成績を残すことは難しいと思われます.
 秋山選手の球種別打率2020対左投手のデータは打席数が少ないため,割愛します.


前田健太投手の球種別被打率 2018-2020 対右打者 

前田健太投手の投手成績 2018-2020

前田健太 2018-2020 投手成績
年度 投球回 勝利 敗戦 被本塁打 与四球三振 防御率
2018 125.1 8 1013431533.81
2019153.210822511694.04
202066.261910802.70
引用元:ウィキペディア

 今季はリーグ4位の6勝,同5位の防御率2.70,同7位の80奪三振をマークし,サイ・ヤング賞のア・リーグ最終候補3人の中に入っています.


速球系(Fastballs:4シーム,2シーム,カッター,シンカー)

前田健太 球種別被打率 2018-2020 対右打者 速球系
対右打者球種投球割合 %被打率
201820192020201820192020
速球系4シーム39.533.221.3.215.164.000
2シーム2.75.7.250.133——
カッター0.11.5————.333
シンカー9.5 —— ——.200
全球種42.338.932.3.220.157.125
引用元:ベースボール・サバント ※投球なし
前田投手はダルビッシュ投手ほどの球速はないが,速球系の被打率が低い.
4シームの平均球速 
前田投手:91.9mph(2018),92.1mph(2019),91.6mph(2020)
ダルビッシュ投手:94.1mph (2018) ,94.1mph (2019) ,95.9mph (2020)

 前田投手はダルビッシュ投手ほど球速は出ませんが,速球系の被打率が低く,打者を抑えこんでいます.2018,2019年は4シームと2シームのみでを低打率に抑えていますが,2020年は2シームの投球がなく,4シームの投球割合が21.3%まで下がり,新たにシンカーの投球割合が9.5%に増えています.

前田健太 球種別被打率 2020 対右打者 速球系
球種投球割合 %投球数打席安打被打率
4シーム21.385110.000
カッター1.5631.333
シンカー9.538102.200
引用元:ベースボール・サバント

 2020年は試合数が60試合に短縮されため,被打率の数字には注意しなければなりません.あまりに打席数が少ないと,得意な球種でも打てずに打率が下がったり,苦手な球種でもたまたま打てて打率が上がるケースが出てきます.なぜ,前田投手が4シームの投球割合を下げたのか意図がよくわかりませんが,2020年についてははっきりしたことはいえないので,参考程度となります.


スロー系(Offspeed:SFF,チェンジアップ,フォークボール,スクリューボール)

前田健太 球種別被打率 2018-2020 対右打者 スロー系
球種 投球割合 % 被打率
201820192020201820192020
スロー系 チェンジアップ 6.95.915.8.143.250.053
全球種 6.95.915.8.143.250.053
引用元:ベースボール・サバント

 『マエケン チャンネル KENTA MAEDA の【1番打たれなかったチェンジアップ】投げ方全て教えます!! 』 によると,2018年から新しく握りを変えたチェンジアップが,MLB公式サイト内の「2018年最も攻略しづらかった球」チェンジアップ(先発投手部門)で1位となっているとのことです.
 動画の中で「チェンジアップというよりもフォーク気味というか,スプリットチェンジみたいな感じで表現をされることが多くて,チェンジアップとフォークやスプリットの間くらい,フォークみたいに速くもないし,チェンジアップよりも落差があるみたいな感じなんで, スプリットチェンジ といういのが正しい呼び方かな.俺の中ではチェンジアップなんだけど,握りでいえばフォークに近いというか,スプリットに近いというか」と説明しています. 


2020-09-23 球種:チェンジアップ 球速: 84.6 mph 引用元:ベースボール・サバント
チェンジアップと判定されているが,ほぼスプリットにみえる.


変化系(Breaking:スライダー,カーブ,ナックルカーブ,スローカーブ,ナックル,スローボール )

前田健太 球種別被打率 2018-2020 対右打者 変化系
対右打者球種投球割合 %被打率
201820192020201820192020
スロー系スライダー43.052.551.4.210.148.193
カーブ7.92.70.5.300.167.000
全球種50.955.251.9.216.149.190
引用元:ベースボール・サバント

 球種はスライダーとカーブの2種類のみですが,被打率は低くなっています. 「スライダーは1番自信のある球種」という前田投手のことばどおり,カーブの投球割合が減少し,2019,2020年はスライダーが全投球の50%以上を占めています.


左打者に対する攻め方に課題あり

前田健太 投手成績 2018-2020 対右打者 全球種
年度投球数打席安打被打率被長打率
2018113025854.209.337
2019119728545.158.316
202039910115.149.327
引用元:ベースボール・サバント
※2020 MLB 右投手対右打者 被長打率 .424
※2020 MLB 右投手対右打者 被打率  .250

 前田投手は,球速は速いとはいえませんが,速球系の被打率は低く(2020年については参考程度),スロー系では 「2018年最も攻略しづらかった球」に選ばれたチェンジアップ(ほぼスプリット)で打者を抑えこんでいます.変化系でも1番自信のある球種であるスライダーをもっており,対右打者ではほぼ完璧に打者を抑えているといえます.
 右打者をこれだけ低被打率に抑えているにもかかわらず,防御率が3.81(2018),4.04(2019)となっているのは,対左打者に課題をもっているということになります. 



対右投手で高めが打てないのは大谷選手だけではない

右投手対左打者で高めの打率が低いのは,MLB全体の傾向

引用元:ベースボール・サバント

 大谷選手のコース別打率(2018,2019年) で,大谷選手がゴルフスイングであるため,低めのコースを得意としているが高めのコースは打てないことに言及しました.しかし,MLB2018~2020年の右投手対左打者のコース別打率をみると,このことは大谷選手だけではなく,MLBの全左打者にいえることであることがわかります.


右投手対左打者 コース別打率 MLB全打者と大谷選手との比較
不調の2020年を含めても,真ん中,低めのコースの打率はすべてMLB平均を上回っている.
引用元:ベースボール・サバント

 2018~2020年の右投手対左打者のコース別打率をMLBと大谷選手で改めて比較すると,高めのコースの打率はさほど変わらないものの,真ん中と低めのコース(ボールゾーンは除く)については大谷選手のほうが打率が高くなっています.やはり,大谷選手はゴルフスイングで肩を回さずに打つため,真ん中より低めのコースを得意としていることがわかります.


MLBの打者は,なぜ高めを打てないのか

 この問いに対する答えは,ステップ足着地後, 第二動作を行い「人」の形で打っている からです.第二動作ではステップ脚の膝関節を伸ばして,下肢のエネルギーを体幹に取り込んで,体幹を後ろに倒す動作を利用してスイングスピードを加速します.のけぞるようにバットを振りますから,スイングの軌道が多少上向きになります.スイングの軌道が多少上向きに なる( アップスイング になる)と高めのボールを打つのが難しくなるため,高めのコースの打率が低くなっていることが考えられます.



運動連鎖の考え方-その2

運動連鎖の考え方 を公開済みですが,説明が不足していたため補足します.

二重振子モデルにおける運動エネルギーの伝達

引用元:深代千之,桜井伸二,平野裕一,阿江通良:スポーツバイオメカニクス(2000),朝倉
書店,p.131,図Ⅲ.35

 ここでは,多関節系のきわめて単純なモデルとして,2つのピンジョイントA,Bをもち,ジョイントAを座標系に固定した剛体ロッドによる2次元の二重振子モデルを考える.ケース1では等角速度のみを初期条件として与え(図Ⅲ.35 ①),ケース2では,ケース1と同じ初期条件ながら途中でパートaの減速を付加している(図Ⅲ.35 ②) .ケース1の場合,パートa,およびパートbの両パートに等角速度を初期条件として与えており,ジョイントAを回転軸とした等速回転運動が生じる.しかしケース2のように,同じ初期条件を与えた場合でも,途中でパートaに加速度運動(この例では減速運動)が発生した場合,パートb自体が回転力(トルク)を発現していないにもかかわらず加速度が発生し,速度変化が生じる.両ケースにおけるパートbのx方向速度を比較してみると,途中からケース2の速度が増加していることがわかる(図Ⅲ.35 ③) .これを運動エネルギーで比較したのが図Ⅲ.35 ④であり,ケース2におけるパートaの運動エネルギーが減少すると同時に,パートbの運動エネルギーが増加している.これは,運動学的には運動エネルギーがパートaからパートbに伝達したとみなすことができる.
 そして,この作用を連続的に用いるのがむちの運動であると考えられる. 実際のむちの場合,まず初めにむちの握りの部分に力を加えて加速し,その仕事によって運動エネルギーをむちに与える.次に握りの止めると力は手にかかるが,手は止まっている(静止)ので変位を伴わない.つまりむちは手に対して仕事をしないことになる.手が止まった後のむちの運動エネルギーは,ほば保存される(実際には,熱などで若干損失する)と考えられ,むちが手元の方から連続的に静止していくので,この運動エネルギーが次々とむちの先端側の質量の小さい部分に移動していくことになる.物体の運動エネルギーは,質量に速度の二乗を掛けたものの1/2であるので,むちの末端部の非常に質量が軽い部分は,結果的に音速を超えることになる.もちろん,人間はむちのような連続体ではないが,同様のメカニズムを利用して多関節系の末端部分の速度を上げることが可能である.身体運動の場合,この根本側(パートa側)の加速度変化は,筋力のほか,遠心力や重力によっても発生すると考えられ,それらを効果的に利用して運動技術に結びつけることが重要であるといえる.

引用元:深代千之,桜井伸二,平野裕一,阿江通良:スポーツバイオメカニクス(2000),朝倉書店,pp.130-131


二重振子モデルを投球動作に置き換える

ダルビッシュ有投手 肩関節最大外旋位(左),リリース直前(右)
引用元:清川栄治・水野雄仁・香田勲男・小宮山悟・野村弘樹 解説(2013):連続写真で徹底解析 プロ野球究極のテクニック【投球編】,ベースボールマガジン社,p.53


 引用した図Ⅲ.35の二重振子モデルについて、Aを肩関節,Bを肘関節,パートaを上腕,パートbを前腕に置き換えて考えてみます.A(肩関節)が振子の支点となります.
 ダルビッシュ投手の肩関節最大外旋位(左) からパートa(上腕)が振り出されると,A(肩関節)を回転軸とした回転運動が生じます.パートa(上腕)は徐々に減速していき,次にパートb(前腕)が振り出されます.このときパートa(上腕)の運動エネルギーが減少しますが,同時にパートb(前腕)の運動エネルギーが増加するので,運動エネルギーがパートa(上腕)からパートb(前腕) に伝達されたことになります.同様にこの後,パートb(前腕)が減速して,手に運動エネルギーが伝達されます.
 つまり,ダルビッシュ投手が肩関節最大外旋位からリリースするまでに,パートa(上腕)からパートb(前腕),手へと運動エネルギーが伝達されることになります.これは,A(肩関節)を支点としたパートa(上腕),パートb(前腕),手の三重振子モデルになります.運動エネルギーは1/2×m(質量)×v(速度) の二乗で表されるので,パートa(上腕)の大きな運動エネルギーが質量の小さい部位である手に伝達されると,先端の指先のスピードは最大になります.
 二重振子モデルでは筋と腱を取り去った骨の動きだけでも,パートaを減速させることによってパートbの速度を増加できることがわかります.投球動作,打撃動作で運動連鎖を利用する場合,なるべく多関節の運動をおこない,先端の小さい部位に大きなエネルギーを伝達する方が効果的です.最初に大きな運動エネルギーを発生させるには,質量の大きい部位である体幹を動かすことも重要になります.



バットとボール(球道)とは90°で衝突させる-その4

投球線(球道)に対してバットと両肩を結ぶ線を90°にする

筆者作成(左図),引用元:科学する野球・打撃編(右図)

 復習の意味も込めて,中心衝突について再度確認します.

  • トンカチと釘を中心衝突させると,トンカチの柄は釘に対して90°になる.したがって,バットとボールを中心衝突させるためには,バットは投球線(球道)に対して90°にしなければならない.
  • インパクト後,中心衝突でボールを打ち返すためには,バットと投球線(球道)の角度を90°に保ったまま両腕を投球線(球道)の方向に伸ばさなければならない.そのためには,両肩を結ぶ線は投球線(球道)に対して90°にしておくのがよいので,インパクト時にバットと両肩を結ぶ線は平行となり,それぞれ投球線(球道)に対して90°になる.


投球線(球道)に対してバットと肩を90°にするのか,打球線(弾道)に対してバット と肩を 90°にするのか

 右打者対左投手で打球が左中間方向に飛んでいるのは,投球線(球道)に対してバットが90°で交わっていませんから,偏心衝突になります.しかし,打球線(弾道)に対しては バットは90°で交わっています.ただし,打球線は投手の球道とは異なるため,打球線に対してバットは90°で交わらせても中心衝突とはいえません.
 つまり,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致したときに,村上氏の中心衝突の理論が成り立ちます.もし,打球線が投球線からずれる場合は,偏心衝突に逆らって打球を飛ばさなければならないため,ボールの勢いに力負けしないスイングが必要となります.MLBのホームラン分布図を見ると,4シームの球威(右打者対左投手:91.9mph≒147.9kph,左打者対右投手:93.5mph≒150.5kph )に負けることなく偏心衝突で打球を飛ばしていることがわかります.
 ですから,打者は偏心衝突に負けないだけのスイングができるのであれば,打ちたい方向に打って構わないと考えることができます.もちろん,中心衝突させることを第一にすれば,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致するのが理想です.


中心衝突させないと,100mphのボールをホームランにすることはできないのか

MLB Home Runs on Pitches Over 100 MPH Compilation
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=SOURwX8gTXo

 打球が飛ぶ方向に注目してください.投球線(球道)の方向に打球が飛んでいれば中心衝突,飛んでいなければ偏心衝突になります.100mphの威力あるボールをホームランにするには,さすがに偏心衝突では難しく,おそらく中心衝突で打者は打ち返しているであろうと予想していましたが,動画を見ると,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致していないケースが多く見られます.
 MLBの打者は体格が大きな上に合理的な動作を行っているので,投手がどれだけ速いボールを投げようとも,たとえ偏心衝突であっても,ボールの威力に負けないパワーを持ち合わせているようです.


打球線(弾道)に対してバットと肩を90°にすることを意識する

 投手の投げるボールは球威のある4シームばかりでなく,変化系,スロー系のボールもあります.トンカチで釘を打つときの釘はストレートの球道を表し,変化系,スロー系のボールは該当しません.まっすぐ来るボールでなければ,クギを打つことにならず,中心衝突は成り立たないため,打者はどの方向に打ってもよいことになります.
 速球系のボール(特に4シーム)は釘に該当するので,中心衝突と偏心衝突があてはまります.まっすぐ来るボールに対して中心衝突させるには,村上氏のいわれるように投球線(球道)と打球線(弾道)が一致することが理想ですが,偏心衝突をものともしないパワーがあるのならば,打球線(弾道)に対して両肩を結ぶ線とバットを90°に交わらせるという考え方でも問題ないかと思われます.MLBの打者は100mphの4シームを偏心衝突でもホームランにしているので,そこまで中心衝突にこだわらなくてもよいかもしれません.
 また,試合で速球系のボールがこのコースに来たらこの方向に打とう,変化系,スロー系のボールが来たら自分の打ちたい方向に打とう,などと考えて打席に立つのは現実的ではありません.村上氏の中心衝突の理論については,投球線(球道)と打球線(弾道)が一致することが理想であることを理解しておけばよいかと思います.ただし,自分の打ちたい方向に打つ場合,どのような球種のボールであっても,インパクトは中心衝突のインパクトが適用されるため,打球線(弾道) に対して両肩を結ぶ線とバットの角度は90°で交わらせる必要があります.